広島対巨人の首位攻防戦が9日、マツダスタジアムで行われ、巨人が岡本和真の3ランを含む4打点で5-3と首位広島に逆転勝利し、5連勝で首位に立ちました。
このマツダスタジアムでは、今季はこの試合まで2分け4敗でした。この球場の苦手意識は以前から持っており、2017年8月11日から18年8月11日まで、巨人は13連敗を喫したことがありました。
巨人が強かった1990年代、中日がなかなか東京ドームで勝てない時期が長く続きました。当時、「巨人は先発によってマウンドの高さを変えている」という風説が流れ、「今日はサイドスローの斎藤雅樹だから低いぞ」、「今日は桑田真澄だから高いな」などと、中日ベンチから漏れ聞こえてきたと言われました。
もちろん、そんなことがあるわけありません。さらに「ベンチに隠しカメラか、マイクが仕掛けてないか」、「サインを盗まれている可能性があるから、きょうは全て変えよう」などの意見も出たと、当時言われました。
冷静に考えれば、こんな疑心暗鬼にとらわれた時点で、既に後手に回っているわけで、それが苦手な球場でさらに勝てなくなる原因となったように思えます。
マツダスタジアムで広島が強いのは、球場の一体感も理由の一つと思います。リードされていても、ファンが諦めずに応援し、何かが起きそうなムードを作ってくれ、その空気にカープナインが乗せられて躍動する姿がしばしば見られるからです。
こうしたムードを打ち崩したのが岡本和。1点先取された四回、一死一、三塁で右越え3ラン。3-3の同点の八回は一死二、三塁から右犠飛を放ち、広島ファンの声援を打ち消しました。
岡本和はこの日の一発で15号となり、本塁打争いで首位の村上宗隆(ヤクルト)に並び、50打点でトップの打点とともに二冠王になりました。上位4チームが1ゲーム差の中にひしめく「混セ」を巨人が制するには、やはり4番の打撃が欠かせません。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。