オールスターの「ホームラン競争」というと、少し前まで、長距離打者の多くが出場を望み、ファンも夢見るイベントでした。しかし、今季はアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が出場を辞退したり、大谷翔平(ドジャース)が右肘のリハビリもあって出場を明確に望まないなど、選手の賛同を得られなくなっています。

 そこで米大リーグは30日(日本時間7月1日)、7月16日(同17日)にレンジャーズの本拠地・テキサス州アーリントンのグローブライフフィールドで行われるオールスターゲームの前日の15日(同16日)に実施されるホームランダービーの競技要項をルール変更して発表しました。

 昨季までは、全てトーナメント制で1回戦と準決勝が3分、決勝が2分の時間の中で、スイング数や球数に制限なく、ひたすら打ち続けて柵越えの本数を競っていました。かつては本塁打以外が10球になるまで打ち続けるルールだったため辞退者は少なかったが、あまりに体力消耗が激しく、無理に飛距離を求めてフォームを崩す危険性があることから、強打者の出場辞退が相次いできました。

 今季実施される新ルールでは、2ラウンドに分かれ、1回戦は全選手が出場して本塁打数を競います。上位の4人が準決勝に進みトーナメントで優勝者を決めます。時間制はこれまで通りだが、1回戦と準決勝は40球、決勝が27球という球数制限も加わりました。

 大谷は、オールスター初出場だったエンゼルス時代の2021年に本塁打競争に出場したが、1回戦でフアン・ソト(当時ナショナルズ、現ヤンキース)に敗れた際、疲れ切った表情を見せていました。さらにその影響があったのか、後半戦は成績を落としました。22、23年はオールスターには出場したが、投手での登板の兼ね合いもあって、ホームラン競争の出場は見合わせていました。

 体力消耗が軽減されるルールになったことで、大谷の出場への可能性が出てくるかもしれません。さらに、機械による計測が進んでいる昨今、飛距離、打球速度、角度などの数値を絡めて、少ないスイング数で決まる「ホームラン競争」に変わっていくことが求められると思います。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。