プロ野球のセ・パ交流戦は、球団創設20周年の楽天が13勝5敗で初優勝を果たしました。優勝の原動力は、12球団ワーストだったチーム防御率4.07が交流戦では2.29と劇的に改善したことにあります。交流戦前に8あった借金も完済し、リーグ戦再開に向け、投手力を前面に出して戦っていく方針を示しています。

 防御率が大幅に向上した要因は、交流戦の四球数が12球団で2番目に少ない37個だったことが挙げられます。制球力を重視し、ストライクゾーンで勝負するというチーム方針が徹底され、1試合当たりの四球数は交流戦前の2.76個から2.06個に激減しました。このため、自滅による失点を防ぎ攻撃陣へ良いリズムをもたらしました。

 中でも、防御率1.74の救援陣は、酒居ー宋家豪ー則本の「勝利の方程式」が確立したことが大きいいと言えます。さらに救援陣の負担軽減のため、3連投以上を避ける運用を徹底したことで、余裕の継投策を取ることができるようになりました。

 青山投手コーチは「後半戦を見据え、戦える戦力を整えることも考えて起用している」と、目の前の1勝にこだわることのない起用法を説明しています。

 このため、接戦や勝ちパターンで投げる投手が増え、起用の幅が広がったようで、優勝を決めた16日の広島戦では、4四球と制球が不安定だった先発の松井を早めに降板させ、四回から1回に1人、合計6人のリリーフ投手を送って、序盤のリードを守り切ることができました。

 こうした戦い方で、先手を取られても、投手陣が僅差を保つことで、13勝のうち逆転勝利が6試合もありました。

 それでも、リーグ戦で首位を走るソフトバンクが、交流戦でも12勝6敗で2位のため、リーグ優勝は容易なことではありません。しかし、2013年に楽天がリーグ戦初優勝し、日本一になった時も、交流戦2位で上昇機運に乗り、6月末時点ではリーグ戦2位。そして7月に14勝6敗で首位に立ってそのままリーグ優勝に結び付けた実績があります。

 「野球は投手力」の確言通り、投手力でどれだけソフトバンクに迫れるか、楽天の戦い方に注目していきたいと思います。

   ◇◇◇◇

 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。