ヤクルトの奥川恭伸投手(23)が2021年10月8日以来、980日ぶりの勝利投手となりました。14日のプロ野球交流戦、オリックス対ヤクルト戦(京セラドーム大阪)に、22年3月29日以来の先発で5回を投げ7安打、3奪三振、無四球、1失点の好投でつかんだ勝利で、「本当に長いこと、みなさんにたくさん期待してもらっている中、待たせてしまった。勝つことが出来て、うれしい」と試合後、涙を見せていました。

 奥川は、星稜高校(石川)から入団2年目にチームトップに並ぶ9勝を挙げ、日本一にも貢献するなど先発陣の一角として活躍しました。しかし、その後、右肘や足首、腰など相次ぐ故障に悩まされ、2年余り一軍のマウンドから遠ざかっていました。

 それでも、入団時の背番号「11」から、22年オフにエース番号の「18」に変更されるなど、チームの期待は高まっていました。

再起をかけた今季も、キャンプ終盤に腰を負傷。絶望の淵に追いやられたが、二軍戦で復帰し、6試合を投げて今月10日に一軍に合流することができたのです。 

 14日は、初めて「18」を背負って先発マウンドに臨み、立ち上がりから150㌔を超える速球と、キレのあるスライダーを武器に、制球良く投げ通しました。

 四回、杉本裕太郎に甘く入った速球をソロ本塁打されたが、勝利投手の権利を得る五回まで投げることが出来ました。奥川の復活登板に、打線も活気付き、初回に1点、三回に3点奪いました。七回に1点差まで追い上げられたが、リリーフ陣が何とかリードを守り切り、5-3で勝つことが出来ました。

 バックには、遊撃手に長岡秀樹、二塁手に武岡龍世と、高卒同期入団の2人が守り、「投球が苦しい時に後ろを見たら、同期の2人がいて、彼らと一緒なら大丈夫だろうと思って投げた」と、仲間への思いも口にしました。

 1月に震災に見舞われた故郷・石川への思いもあり、「この1勝はすごく大きい。野球の神様に助けられた場面があくさんあった。そういう意味では、報われたと思います」と最後まで感謝の気持ちを表していました。

 奥川にとって、長いリハビリの期間が、いい時間だったと思える今後にしてほしいと思います。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。