プロ野球交流戦、広島対ロッテ戦が7日、マツダスタジアムで行われ、広島の先発・大瀬良大地投手(32)がプロ野球史上90人目(102度目)のノーヒットノーランを達成しました。球団では2012年の前田健太投手(デトロイト・タイガース)以来12年ぶりで、本拠地マツダスタジアムでは初の快挙となりました。

 大瀬良の投球内容は、打者31人に対し、飛球14(遊直含む)、内野ゴロ10(うち併殺打1)、三振2、四球5で、投球数は129でした。「ちょっとまだ信じられない。自分のことではないような気持ちです」。大瀬良の言葉の裏には、2度の右ひじの手術を乗り越え、プロ11年目でたどり着いた苦難の歴史があったからです。

 14年にドラフト1位で広島に入団した大瀬良は、1年目に10勝をマークして新人王に輝くと、5年目には15勝7敗で最多勝と最高勝率のの二冠王を獲得してチームのリーグ3連覇に大きく貢献しました。

 しかし、20年に右ひじの手術を経験してシーズン途中で離脱すると、ここ数年は思うような成績を残せず、昨季は6勝11敗と大きく負け越しました。さらに昨年10月、2度目の右ひじ手術を受けました。

 今春のキャンプは、手術の影響でスローペースの調整となり、5年連続で務めていた開幕投手の座を同い年で同期入段の九里亜蓮投手に譲りました。しかし、ここからの復活劇はすさまじく、今季は8試合に先発して防御率1.27と安定した投球を続けて迎えた7日のロッテ戦に臨みました。

 すべての球種を低目に集める理想の投球でテンポよく打たせて取る投球の結果、3勝0敗、防御率は1.07でリーグトップに立ちました。この勝利でチームも巨人を抜いてトップとなりました。

 今季は全体的に投手力が打力を上回る「投高打低」の傾向にあり、ノーヒットノーランも5月24日に達成した巨人の戸郷翔征投手に続き早くも2人目となりました。

   ◇◇◇◇

 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。