米大リーグ機構は29日(日本時間30日)、人種差別によって黒人選手だけがプレーした「ニグロリーグ」で、1920年~48年にプレーした選手2300人以上の成績が大リーグの公式記録に加わったと発表しました。2020年に同機構が「長年の過ちを是正する」として、公式記録の精査などが行われ、それがまとまったのです。

 これにより大リーグの通算記録が大きく入れ替わり、通算打率ではニグロリーグの強打者、ジョシュ・ギブソンの3割7分2厘が、これまで1位だったタイ・カッブの3割6分7厘を抜いてトップに立ちました。ギブソンはシーズン打率でも43年の4割6分6厘で1位になりました。

 通算打率ベスト10では、5人の黒人選手が新たに加わったため、最後の4割バッターとして知られる通算3割4分4厘のテッド・ウィリアムスが10位となり、3割4分2厘のベーブ・ルースはトップ10から外れました。

 また、ベーブ・ルースと大谷翔平の2人だけが成し遂げたとされた同一シーズンの「2桁勝利、2桁本塁打」は、ブレット・ローガンらも達成者となりました。イチローの年間安打数262本の大リーグ記録はトップのままです。

 一方、新たな選手が追加されただけでなく、ニグロリーグでのプレー経験がある元大リーガーたちの通算成績にも変化が加えられました。例えば、初の黒人大リーガーのジャッキー・ロビンソンは、1945年にニグロリーグで125打数49安打、打率3割9分2厘をマークしていたため、通算打率が3割1分1厘から3割1分3厘に上がりました。ウィリー・メイズは通算安打が10本追加され、3283本から3293本に増えました。

 ニグロリーグの名投手サッチェル・ペイジは通算勝利が28から125へ大幅に増加しました。

 同機構のロブ・マンフレッドコミッショナーは「ニグロリーグの記録を公式に加えることができて誇りに思う。彼らの功績と歴史を学ぶための入り口となる」とコメントしました。

 ニグロリーグのレベルは当時のメジャーのレベルに相当することが、公式に認められたことの意義は大きいと思います。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。