捕手出身の巨人・阿部慎之助監督が、一番悩んでいるのが捕手を固定できないことです。昨季までレギュラー捕手として攻守に活躍し、今季から選手会長も務める大城卓三捕手(31)が、不振で出番が減り、ついに8日、二軍落ちしてしました。
不振の原因は、守りのリード面で指揮官の信頼が得られず、それが打撃に悪影響を及ぼしたのでした。打撃のいい捕手は、投手の直球のキレがないと、自分が打席に立った時に置き換えて、「これでは打たれる」と思って、変化球中心の配球でかわそうとすることが多いと言われます。
阿部監督も現役時代の若いころ、よくこの点を指摘されたが、まさに大城は、この点でリード面のミスを阿部監督に指摘されているのです。
例えば、4月29日の東京ドーム。ヤクルト戦の巨人の先発はグリフィン。立ち上がりから苦闘の投球が続き、4イニング投げて11安打8失点でKOを喫してしまいました。直球が両サイドに決められず、打たれた安打の多くが変化球だったのです。
確かにグリフィンが投げた68球のうち、直球が27球、残りの41球は変化球という投球内容でした。初回にストレートを丸山に左前打されると、その後の配給は変化球主体となり、山田の2ランも村上のソロ本塁打も、打たれたのはいずれも変化球で、打たれた11安打のうち、7本が変化球。この試合に限らず、大城がマスクを被ると外角の変化球を中心にした配球が多くなっていました。
この試合を最後に、大城はベンチスタートが続き、今季出場は23試合で打率1割8分8厘、本塁打ゼロ、先発マスクはわずか14試合に留まりました。昨季はWBCでは「3番手捕手」としてチームを支え、公式戦では自己最多の134試合に出場し、打率2割8分1厘、16本塁打、55打点のキャリアハイの好成績を残しました。
代わって出場の岸田や小林、さらに大城に代わって昇格した山瀬と比べると、潜在的な打力は大城が上回っているだけに、大城がファームで鍛えて一軍復帰、先発出場ができれば、チームの戦力は上がってくると思います。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。