プロ野球は本拠地球場をメーンに、地方球場など全国各地の球場で行われ、昨年までに使用された球場は合計291球場になったそうです。それでも選手にとって主戦球場である本拠地球場は思い入れが強いことでしょう。そうした中で、年間で打者が1球場で100安打以上、投手が20勝以上するケースは貴重な記録と言えます。

 過去、1球場で100安打以上打ったのは、3人しかいません。2007年に神宮球場で107安打をマークした青木宣親選手(ヤクルト)、10年に千葉マリンスタジアムで105安打の西岡剛選手(ロッテ)、15年に西武プリンスドームで100安打を放った秋山翔吾選手(西武)です。

 1924年の開場から100周年を迎える甲子園球場では、過去最多は2010年のマートン選手の89本。昨年、シーズン164安打でリーグ最多安打のタイトルを獲得した中野拓夢選手や、1番打者として実績を残す近本光司選手も100の大台には乗っていません。

 一方、最近のプロ野球では「20勝投手」が貴重な存在で、最後にマークしたのは13年の田中将大投手(楽天)の24勝で10年間も不在になっています。

 ところが、過去1球場で20勝以上挙げた投手が4人います。勝利数は全て20勝ちょうどで、達成したのは1954年に中日球場での杉下茂投手(中日)、58年の後楽園球場での金田正一投手(国鉄)と藤田元司投手(巨人)、61年の平和台球場での稲尾和久投手(西鉄)。

 58年に金田投手が後楽園球場で20勝できたのは、当時、国鉄スワローズの本拠地は後楽園球場で、神宮球場に本拠地が移転したのは64年からです。なお、プロ野球に「地域フランチャイズ制」が導入されたのは52年からで、その年、後楽園球場を本拠地としたのは読売ジャイアンツ、国鉄スワローズ、毎日オリオンズ、大映スターズ、東急フライヤーズの5球団にも上りました。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。