第96回選抜高校野球大会は25日、甲子園球場で1、2回戦3試合が行われ、2回戦の阿南光(徳島)ー熊本国府(熊本)戦で、阿南

光の吉岡暖投手は5安打、無四球、14奪三振で3-0の完封勝利を飾りました。

 1回戦の豊川(愛知)戦で11奪三振の完投勝利を挙げた吉岡は、2試合で計25奪三振。好投の背景には、今大会から解禁された2段モーションを取り入れて球威、制球力とも増したことが挙げられます。

 日本高校野球連盟は2月9日、高校野球特別規則を見直し、今年から投球動作の投球動作の途中で上げた足を上下するなどの「2段モーション」に関する規則を削除しました。

 プロ野球では、国際基準に合わせて2018年から2段モーションを反則投球から外したが、高校野球では変則的な投球フォームは相手を惑わすとして反則投球のままでした。しかし、プロ投手のフォームを真似る投手が増えたことや、変則フォームによる打撃への影響はないという研究結果などで、規則変更となったわけです。

 実は、昨夏の甲子園大会終了後に高校日本代表に選ばれ、ソフトバンクからドラフト1位指名を受けた大阪桐蔭高校の前田悠伍投手が、2段モーション禁止のルールがない「U-18ワールドカップ」で2段モーションを取り入れた投球を行い、16回1/3投げて自責点1の快投で世界一に貢献した例がありました。

 182㌢、85㌔の吉岡は熊本国府戦で、2段モーションを駆使し、最速143㌔の直球にカットボール、フォーク、カーブを低めに決め、好投に結び付けました。 

 現状の野球事情に沿った形で規則が改正されたことは評価できます。前田や吉岡のように、今回の規則改正で劇的に成長する投手が現れることを期待したいと思います。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。