20日の開幕戦で逆転勝利の好スタートを切ったドジャースだが、21日は一転、悪夢のような1日となりました。

 事の起こりは、大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平氏を球団が解雇したと発表したこと。水原氏は、スポーツ賭博が認められていないカリフォルニア州のブックメーカー(賭け業者)に多額の借金を作り、大谷選手の銀行口座からブックメーカーに対し、少なくとも450万㌦(約6億8000万円)の送金を行ったとされています。

 このためドジャースは水原氏を解雇して、代理の通訳として球団編成部のウィル・アイアトン氏(35)を充てました。同氏は東京生まれで、母親がフィリピン出身だったこともあり、2013年の第3回WBCでは同国代表としてプレー。ドジャースに前田健太投手(タイガース)が在籍していた際には専属通訳を務めていました。

 試合前のクラブハウスでは、普段は選手と報道陣が公開された場所で取材機会が提供されているが、この日は選手がほとんど姿を見せず、静まり返っていました。

 こうした「異常な雰囲気」の影響を直接受けたのは、オリックスから移籍してメジャー初先発の山本由伸投手でした。3年連続最多勝など投手4冠と沢村賞を受賞した「日本のエース」が1回を投げて4長短打を浴びて5失点、43球で降板となりました。もちろん「KO」の理由はほかにも色々あっただろうが、初登板の日の余計な「ざわつき」が全く影響しなかったとは言えないと思います。

 それでも、大谷は初回にカットボールを振り抜いて痛烈な当たりの右前打を放ち、フリーマンの四球で二塁に進むと、スミスの右中間二塁打で生還。二回には一死二、三塁から緩いチェンジアップを巧みに捉えて右翼への犠飛を放ち、2戦連続の打点を挙げるなど、「自分の通訳の裏切り」に動揺を見せることがありませんでしたが、チームは15-11で敗れました。

 初めて韓国で開催された米大リーグ開幕2連戦は、「大谷人気」で2試合ともチケットが完売となる大盛況で終わりました。MLBは、今後も北米以外の市場を重視する意向を示しており、その意味では大成功だったが、思わぬ「スチャンダル」でドタバタ劇を演じてしまった1日だったことも事実。

 大谷本人はもちろん、ドジャース、大リーグに悪い影響をこれ以上与えないことを祈るのみです。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。