第96回選抜高校野球大会は18日、甲子園球場で開会式と1回戦3試合が行われたが、今大会から導入された低反発バットの影響か、3試合とも本塁打ゼロで、延長戦2試合を含むいずれも接戦の展開となりました。

 新基準の金属バットは、直径を67ミリから64㍉未満まで細くなり、表面の金属は3㍉から4㍉以上と肉厚となったことで、従来のバットより打球の平均速度が3%以上抑えられることになりました。

 この影響からか、この日行われた3試合は、すべてロースコアの同点のまま終盤までもつれました。計46安打中、長打は二塁打が計6本で、昨年は初日に飛び出した本塁打は1本も出ませんでした。戦い方も、1点をどう奪うか、という基本に忠実な「スモールベースボール」が勝敗のカギを握る展開が増える傾向です。

 八戸学院光星(青森)対関東一(東京)の開幕試合は、両チーム17安打のうち、長打は二塁打1本だけ。八戸学院光星の渡部左翼手は「ゴロの速度が遅いので前に守っている」と、守備位置の変化を語りました。同校の仲井監督は「大量点は難しい。四球や失策など、相手の隙を突くのが大事になる」と、作戦面の変化も出てきたようです。試合は2-2のまま延長に入り、十一回まで戦った末に5-3で八戸学院光星が制しました。

 第3試合の近江(滋賀)対熊本国府(熊本)は、1-1のまま延長に入り、十回に熊本国府が2-1のサヨナラ勝利を収めました。同校の山田監督は「バントやヒットエンドランという野球の面白い部分、作戦面が大事になる。1点の重みがが増してきた」と前向きに捉えました。

 第2試合の星稜(石川)対田辺(和歌山)戦も2-2の九回、星稜が2点入れて4-2で接戦を制する展開でした。初日だけで決定的なことはまだ言えないが、「試合の流れをいかにつかみ、そして離さないか」という小技や機動力を駆使する従来の「甲子園戦法」が大事になってくる気がします。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。