巨人は17日行われた日本ハムとのオープン戦の一回、無死一、二塁からトリプルプレー(三重殺)を完成させました。郡司裕也の三ゴロを泉口友汰が捕球して三塁ベースを踏んで二塁送球、吉川尚輝が一塁の岡本和真に送球し、5-4-3の三重殺となりました。

 記録に残る最初の三重殺は、1976年5月13日のニューヨーク・ミューチュアルズ対ハートフォード・ダークブルース戦で、ミューチュアルズが完成させました。無死満塁の場面で、二塁手がライナーを捕球し、飛び出した走者2人を一塁送球、二塁送球の順でアウトにしたものです。

 3021試合出場のプロ野球記録を持つ谷繫元信さんが「やったこともやられたことも一度もない」というように珍しい三重殺。

 同じように珍しい完全試合が同じ日に成立したことが2度あります。1つは1957年8月21日に南海が近鉄に対して三重殺を成立、国鉄の金田正一が中日に対して完全試合を達成。もう1つは2022年4月10日に西武がソフトバンクに対して三重殺を成立、ロッテの佐々木朗希がオリックスに対して完全試合を達成した例です。

 春の選抜高校野球大会では三重殺は1度だけ。夏の全国高校野球選手権大会では9度三重殺が達成されています。

 変わった三重殺では、1929年4月30日のホワイトソックス対インディアンズ戦で、無死一、二塁から遊ゴロで打者走者がアウト、その間に二塁走者は一気に本塁を狙い三本間でアウト、一塁走者は三塁に達していたが、三塁手はグラブにボールを隠したまま、三塁を離れた走者にタッチしてアウトという「隠し球による三重殺」というプレーがありました。

 1試合で2度の三重殺は、日米で1度ずつ記録。米国では1990年7月17日のレッドソックス対ツインズ戦の四回と八回に、日本では51年6月29日の大映対毎日戦で一回と延長十回に、それぞれ成立しました。

 巨人の阿部慎之助監督は「あんなトリプルプレー久し振りに見た。現役時代に一度やったことがある」と笑顔で語っていたが、開幕前に滅多に見られないプレーを巨人が完成したことは、験がいい出来事だったことは間違いないでしょう。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。