第96回選抜高校野球大会は18日開幕するが、この大会から投手のけが防止などを目的に反発性能を抑えた金属バットの使用が義務付けられました。新基準のバットはこれまでのものに比べ、最大直径を3㍉細くするなどしています。打球の平均速度は従来より3%以上落ちるとされることから、攻守に影響が出そうです。
木材資源保護などを目的として高校野球に金属バットが導入されたのは1974年。それまでの木製バットと比べて格段に飛距離が出るため、本塁打の各種記録更新につながったが、安全面から低反発バットに変更されました。
「キーン」と甲高い音を響かせて鋭い打球が投手目掛けて飛び、直撃して大けがを負ってしまう――というシーンが、高校野球の試合で多く見られるようになりました。
こうしたけが防止のため、新基準のバットは、最大直径が67ミリから64ミリ未満まで細くなり、表面の金属は3㍉から4㍉以上と肉厚になったことで、打球の速度は抑制されました。投手にとっては安全性が増すが、チームは打撃や守備の変化に対応しなければなりません。
打撃ではバットの芯に充てる意識をより高め、少しでも芯を外したら飛距離が出ないため、ゴロを狙って打つ打撃に取り組むチームが増えました。飛距離が出ない分、守備練習では内野フライを想定したノックを増やしたチームが出てきました。
一方、これまでのバットは1本2万5000円ほどだったのに比べ、新バットは3万円台後半と高額になりました。加盟校の負担軽減のため、日本高野連は全国の加盟校に2本ずつ新バットを配布したほか、さらにもう1本追加で配布すると発表しました。都道府県によっては、独自にもう1本配布するところもあるそうで、最大4本新バットが届けられることもあるようです。
低反発バットに変わったことで、安打も本塁打も減るだろうが、打者が技術をより磨くきっかけとなり、投手中心の引き締まった試合が多くなることが予想されます。さて、センバツが「打高投低」から「投高打低」に変わるのか、注目したいと思います。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。