今季の米大リーグは、20日に韓国・ソウルで行われるパドレス対ドジャース戦で開幕します。ところでなぜ、大リーグの開幕戦が韓国で行われるのでしょうか。

 韓国での開幕戦の開催はパドレスに韓国出身の人気選手金河成(キム・ハソン)内野手がいることもあり、昨年7月発表されました。大リーグの公式戦は2000年代以降、積極的に海外で行われています。背景には大リーグの人気と市場拡大を目指して「国際化」を目指す流れがあります。

 北米では、大リーグ(MLB)と、アメリカプロフットボールリーグ(NFL)、アメリカプロバスケットリーグ(NBA)、北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)を合わせて「4大プロスポーツ」と呼ばれています。この中で圧倒的な人気があるのがNFLです。

 アメリカの経済誌「フォーブス」が昨年発表した世界のスポーツチームの資産価値のランキングを見ると、上位50チームの中にNFLは30チーム、NBAは6チーム、MLBは5チームでした。

 1960年代までは野球は国民的敵娯楽と呼ばれ、MLBは米国のトップスポーツでしたが、70年代ころからNFLにその座を明け渡しました。さらに今世紀に入ってから国際化に大成功したNBAが2番手となり、MLBは3番手となってしまいました。そうした中で、国内市場だけでなく、国際市場を開拓しようという流れとなりました。

 今回、韓国での開幕シリーズは、チケットが発売から8分で売り切れるなど関心は高かったようです。その理由に、ドジャースの大谷翔平の存在があるのは間違いないでしょう。欧州のサッカーやNFLなど多くのプロスポーツチームがある中で、大谷が史上最高の契約を交わしたことが、世界に向けた大きなメッセージとなったことは間違いないでしょう。

 来年は、日本で大リーグの公式戦が開催される方向で調整が進んでいるようですが、MLBの国際化で野球の人気復活はなるのか、注目していきたいと思います。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。