東日本大震災から13年となる11日を前に、岩手県陸前高田市出身の佐々木朗希(ロッテ)と同県一関市出身の阿部寿樹(楽天)は10日のオープン戦で溌溂としたプレーを披露しました。

 佐々木はソフトバンク戦に、実戦3度目、先発では初のマウンドに上がりました。一回、先頭の柳田悠岐に右中間二塁打を浴び、続く今宮健太の遊ゴロで一死三塁となるが、昨季本塁打と打点の二冠王の近藤健介を155㌔の速球で空振りの三振、山川穂高には四球を与えるが、ウォーカーを空振りの三振に仕留めるなど、要所を締める投球で3回を無失点に抑えました。

 小学3年生だった当時、津波で父と祖父母を亡くし、自宅も流されて避難生活をおくりました。それでも多くの人に支えられて続けてこれた大好きな野球。「僕にできることは野球を頑張ることだと思う。そこに集中していきたい」と語りました。

 阿部は、2本の適時打を含む5打数3安打2打点の活躍で、レギュラー奪取をアピールしました。中日から移籍1年目の昨季は、期待された打撃面で苦しみ、78試合の出場にとどまりました。昨年5月に岩手県で開催された公式戦にも出場できず、今季こそは「地元の試合(7月3日・オリックス戦)に出場できるように頑張りたい」と目標に掲げています。

 明治大学3年生だった当時、大学のグラウンドで試合中だったが、すぐに寮に戻って家族に電話したものの「2、3時間は不通で不安だった」。親族は無事だったが、東北地方の映像を目にし、言葉を失ったと言います。「僕たちは野球でしか元気を与えられない。チームが優勝することが東北地方の活力になる」と、気持ちを新たにしました。

 佐々木、阿部だけでなく、東北地方出身の選手たちにとって「3月11日」は特別な思いで過ごすことなるでしょう。また、今年は元日の能登半島地震で、北陸地方出身の選手も「自分が野球で活躍して地元に元気を」と被災地に思いを届けることでしょう。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。