巨人の宮崎キャンプで11日、紅白戦が行われ、白組の先発で登板したドラフト1位入団の西舘勇陽投手(花巻東高校ー中央大学)が、1イニングをわずか10球、三者凡退で抑える上々の実戦デビューを飾りました。
3万人近くが詰めかけた休日の、そしてキャンプ初の紅白戦。まさしく注目を浴びる中での登板で、「プレッシャーのかかるところでいかないといけない宿命」と阿部慎之助監督が見守った中での投球でした。しかし、西舘は「あまり気負わず、自分の投球に向き合った」と堂々としたマウンド度胸を見せました。
得意とするクイックモーションから、150㌔近い速球を中心にテンポよく投げ込んでいきました。中でも試したかった球種はフォークボール。最初の打者オコエ瑠偉を右飛、続く重信慎之介を一ゴロに打ち取った後、3人目の若林晃弘に投げた3球目、137㌔の鋭く落ちるフォークボールでバットに空を切らせました。「いい球だった。指のかかりもよかった」と自画自賛する球で追い込み、最後は左飛に仕留めました。
実は、7日に行われたシート打撃では、厳しいコースに投げたフォークボールを簡単に見送られる場面があったため、岸田行倫捕手と話し合いました。そこで得た結論は「球を挟む人差し指と中指のうち、中指だけ少し縫い目にかける握りにする」ことでした。球速を上げ、直球と見分けづらくするためです。岸田捕手も「7日はボールが浮くこともあったが、今日は直球に近かった」と合格点を出しました。
西舘は降板後、感覚の良かったフォークボールを忘れないように、すぐにブルペンに向かいました。この姿勢に、杉内俊哉投手コーチは「空振りが取れる球があると、投手は楽になる。フォークボールを使いこなすことを感じたようだ」と納得の様子。
高校は大谷翔平(ドジャース)の、大学は阿部監督の後輩という経歴が目立っていた西舘だが、これからは、投球の実績で目立つ存在になって欲しいものです。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。