大被害をもたらした能登半島地震。石川県出身の選手たちは、正月に帰省中だった人も多く、「全力プレーが被災地を勇気づけると信じる」と、それぞれのキャンプでトレーニングを積んでいます。

 加賀市の実家で自身を経験したオリックスの颯一郎投手(25)は、自己最速となる160㌔の更新を意識し、「もっと頑張ろうという気持ちがある。全力プレーが故郷へのエールになる」と、野球に打ち込める重みをかみ締めています。昨季はチーム最多の53試合に登板し、今季も50試合以上を目標に掲げています。

 巨人の泉圭輔投手(26)は、能登半島にある祖父母宅を訪れていた時、激しい揺れに襲われました。家屋が倒壊し、祖父母とともに避難所で一夜を過ごしました。ソフトバンクから移籍1年目で、キャンプでは「野球で少しでも元気づけたい。今年1年ずっと考えてやっていく」と誓いました。困難な状況で助け合う人たちを見て、「価値観に変化が生まれた」と語っています。

 昨季プロ初勝利を挙げた楽天の松井友飛投手(24)は、穴水町の実家に帰省中で、初詣を終えて帰宅したところ「経験したことがない揺れが襲ってきた」。3年目の今季は、金沢学院大時代のダイナミックな投球フォームに戻すことを決断し、「今は本当に野球ができることがありがたい」と、キャンプで必死に汗を流しています。

 ヤクルトの奥川恭伸(22)は、星稜高校時代の3年夏の甲子園準優勝。プロでも2年目に9勝を挙げてリーグ優勝に貢献したが、3年目に開幕戦先発投手を務めた時に右肘を痛めてしまい、その後登板なし。4年目の昨季も登板ゼロに終わりました。それでも復活を願う地元ファンの声に支えられてきただけに、「今度は自分が勇気づける番だ」と誓いました。

 石川県出身の選手だけでなく、阪神淡路大震災の被災地を勇気づけたオリックス、東日本大震災の被災地を応援し続けた楽天はもちろん、全12球団がキャンプで募金を実施するなど、被災地復興に取り組んでいます。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。