DeNAからポスティングシステムを利用して米大リーグのカブスに移籍した左腕、今永昇太投手(30)は12日(日本時間13日)、シカゴのホテルで入団会見を行いました。背番号は「18」で、4年総額5300万㌦(約77億円)という高評価の理由は、空振りを取れる「伸びのある速球」を生む回転数が、大リーグの中でもトップレベルにあることが挙げられます。
昨年3月のWBC「侍ジャパン」の一員として、1次ラウンドの韓国戦(東京ドーム)に2番手として登板した際、最速154㌔、直球26球の平均は2561回転(毎分)で、最高は2678回転、最低は2201回転でした。
2022年の大リーグで直球の平均回転数が高かった左腕は1位がタナー・スコット(マーリンズ)で2560回転、2位がフリオ・ウリアス(ドジャース)の2521回転(50球以上投げた投手が対象)でした。スコットは67登板で20セーブをマーク。ウリアスは21年に最多勝、22年最優秀防御率のタイトルを手にした実績があります。
今永の直球は、こうしたメジャー最高のサウスポーを上回る回転数を誇っており、これが高評価につながったようです。
今永は5年ほど前から、自身の身体を最大限に生かし、出力の高いフォームを追い求めた結果、「平均の回転数が上がった。ブルペンでも回転数2400~2500くらい出る」と成長の理由を説明しています。
この日の会見では、カブス入団の決め手を「球団幹部から面談で力強い言葉をいただいた。可能性が無限大に広がるチームを求めていた」と語り、「早く本拠地のリグリー・フィールドのマウンドで投げたい。そのためには、周りのアドバイスを聞き入れることが大事だと思う。まずはやってみるということを心掛けて順応していきたい」と話していました。
今永は昨季、174奪三振で最多奪三振のタイトルを獲得したが、これも空振りを生む上昇する速球を持ち球にしているためで、その根本は高回転の投球にあります。日本から米国に渡って成功する投手は、先駆者の野茂英雄を筆頭に奪三振の多さが挙げられます。その意味で、今永が成功する確率は高いと思います。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。