広島のベテラン松山竜平外野手(38)は、今季55度起用された代打で50打数19安打の打率3割8分、打点21の好成績を残しました。先発では24試合に出場し、90打数16安打の打率1割7分8厘、打点6と、代打の方が体質に合う選手のようです。

 21打点は両リーグ最多で、2リーグ制以降、代打の打点は1994年の真弓明信(阪神)の30打点が最多で、2位が2007年の立浪和義(中日)の27打点、3位は66年の宮川孝雄(広島)と85年の平田薫(大洋)の24打点。松山の21打点は7位タイで、代打本塁打ゼロで20打点以上は松山だけです。今季の代打安打19は、川端慎吾(ヤクルト)の20本に次いで2位でした。

 5月11日の中日戦では延長十一回に勝ち越し二塁打、8月4日の巨人戦では3-3の九回にサヨナラ安打を打ちました。内野ゴロを含め、代打で記録した肩書付きの「殊勲打点」は同点2度、勝ち越し(サヨナラ含む)5度、逆転1度の合計8度。代打の勝利打点も5度ありました。

 代打の殊勲打点の回数は、62年の島田雄二(東映)と94年の真弓、大島康徳(日本ハム)がマークした9度が最多。惜しくも最多記録には届かなかったが、8度以上は9人しかいません。

 松山の通算代打成績は、362打数105安打の打率2割9分、79打点。2リーグ制以降、代打の通算打率(起用回数300以上)は①若松勉(ヤクルト)3割4分9厘②浅井樹(広島)3割1分5厘③坂崎一彦(東映)2割9分3厘④五十嵐信一(日本ハム)2割9分2厘⑤宮川2割9分3毛で、松山は6位。

 今季の19安打で、松山の通算安打は100本に到達。次は過去5人しかいない代打通算100打点が目標となります。技術面だけでなく、チャンスで起用されることが多いために精神面のタフさも求められる「代打稼業」。風貌も「野武士」的な松山にとって、代打本塁打27本の世界記録を保持する高井保弘(阪急)とともに、「代打稼業」に最も適している選手と言えそうです。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。