オリックスからドジャースに移籍した山本由伸(25)は、3年連続で最多勝利、防御率、最高勝率、奪三振の投手4冠をプロ野球史上初めて達成しました。各タイトルの連続受賞を見ていくと、次の通りとなります。
最多勝利は、1937年秋~40年のビクトル・スタルヒン(巨人)の5シーズンが最長で、2位は野茂英雄(近鉄)の4年、3位は松坂大輔(西武)とともに3年の山本です。3年連続防御率トップは稲尾和久(西鉄)、菅野智之(巨人)と並んで山本が1位タイ。最高勝率は山本の3年が史上1位。奪三振は江夏豊(阪神)、鈴木啓示(近鉄)が6年連続で1位で、2位は則本昴大(楽天)の5年、4位が4年で野茂と山本の2人です。
これで山本が獲得したタイトルは2019年の防御率、20年の奪三振を加えて合計14個。投手4冠部門のタイトル数は金田正一(国鉄ー巨人)が勝利3、防御率3、奪三振10の合計16個で最多。2位が勝利4、防御率5、勝率2、奪三振3の合計14個を獲得した稲尾と山本の2人です。
もう一つ、山本の凄いところは、優勝争いが佳境を迎えるシーズン終盤に圧倒的な力を見せるところです。8月以降の成績を見ると、21年が9勝0敗、防御率0・79、22年が5勝0敗、1・43、23年が7勝2敗、0・29の好成績。7月終了時には21年が勝率、22年は防御率、23年は奪三振がトップに立っておらず、8月以降に逆転してタイトルを独占した形になりました。
今季の防御率は、自己最高1・21。2リーグ制後では唯一の0点台を残した1970年の村山実(阪神)の0・98が1位で、2位は56年の稲尾の1・06。3、4位は59年1・19、62年1・20の村山で、山本の1・21は史上5位です。
日本のプロ野球ではやりきった感のある山本。来季はいよいよ米国に乗り込み、大谷翔平とともにドジャースでプレーします。3年連続投手4冠の実績に加え、シーズン終盤により力を発揮する山本は、ワールドシリーズ制覇を目指すドジャースにとって心強い新戦力となる可能性は高いでしょう。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。