日本ハムの万波中正(23)は、自己最多の25本塁打を放ったが、惜しくも1本差で本塁打王は逃しました。1本差で2位となった翌年に本塁打王を獲得したのは、1937年春の松木謙治郎(タイガース)、72年の長池徳士(阪急)、96年のトロイ・ニール(オリックス)、98年の松井秀喜(巨人)の4人。松井は23歳の97年がドゥエイン・ホージー(ヤクルト)に1本差の2位で、24歳の98年に34本打って初の本塁打王に輝いただけに、万波も当時の松井と同じ24歳で初タイトルを取れるか注目されます。
万波は、札幌ドームではプロ4年間で通算6本だったが、新球場のエスコンフィールドでは11本打ちました。これは同僚のアリエル・マルティネスの6本を上回る最多本数でした。
新球場で躍動した万波だったが、なんと得点圏に走者がいる場面では1本も打てずにシーズンを終えました。25本の内訳は、走者なしで19本、走者一塁で6本。シーズン25本以上で得点圏の本塁打ゼロは、66年のカール・ボレス(近鉄)、92年の駒田徳宏(巨人)、99年のG・G・佐藤(西武)に次いで4人目の珍記録となりました。
一方、殊勲打は自慢できる数字が並びます。9月16日のソフトバンク戦では、先制の初回先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打を放ち、同一試合で「先頭」と「サヨナラ」の両方は、93年10月13日のアロンゾ・パウエル(中日)に次いで、史上2人目。このように、今季の万波は先制や勝ち越しなど「肩書」の付いた殊勲打を数多く打ちました。
殊勲安打は昨季の10本からリーグ最多の30本、殊勲本塁打も昨年の6本からリーグ最多の15本に増えました。殊勲安打と殊勲本塁打の両方が1位は、セ・リーグで35度、パ・リーグで40度あるが、23歳以下のシーズンにマークしたのは、58年の長嶋茂雄(巨人)、2022年の村上宗隆(ヤクルト)ら6人、7度しかない大記録です。
11月に行われたアジアプロ野球チャンピオンシップ(APBC)の日本代表に選ばれ、活躍した万波。日本ハムの中心選手だけでなく、次代の「侍ジャパン」でも活躍が期待される逸材だと思います。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。