米大リーグは今季、「ピッチクロック(投球間の時間制限)」の導入など、貪欲な改革でファン層の拡大を図りました。球場に足を運んでもらう魅力の創出は、放映権の価値を高めることにもつながったようです。
ファンの視野を広げるため、米大リーグ機構(MLB)は今季、大胆なルール変更を行いました。
一つ目は、ピッチクロックの導入で、大幅な試合時間の短縮を実現しました。1試合の平均試合時間(延長戦を除く)は約2時間40分で、昨季より24分短縮されました。
二つ目は、ベースの大型化(一、二、三塁を3㌅、約7・6㌢四方拡大)により、盗塁数は1試合平均で昨季の1個から1・4個に増えました。シーズン全体で記録された3503個は、この100年で2番目に多くなりました。
三つ目は、守備シフトの制限で、二塁の両側に内野手を2人ずつ配置することを決めました。昨季は左打者の時は二塁の右側に3人の内野手、右打者の時は左側に3人配置されることが多く、打者ごとに内野手が行ったり来たりすると、そのたびに時間を取られたからです。時間短縮だけでなく、ヒットゾーンが増えて、打率は昨季の「.243」から「.248」に増え、1試合平均得点も「8・6」から「9・2」の増加しました。
こうした改革で、ファンは球場に足を運ぶ機会が増え、減少傾向にあった観客動員数は昨季より9・6%増の約7074万人に達し、2017年以来の7000万人台を回復しました。
公式戦中継を配信する自前の「MLB・TV」の視聴者数も、前年比で14%増加。18~24歳が視聴した試合は、前年より16%増え、試合のテンポアップや攻撃的な走塁、打撃戦の増加は、若年層のへの浸透にも効果があったようです。
来季は、投球間の時間制限をさらに短縮する案が検討され、将来的にはストライク、ボールを自動で判定する「ロボット審判」の導入など、様々な模索が続いています。
日本のプロ野球も「大リーグに習う」だけでなく、独自の改革を積極的に実施していって欲しいと思います。
◇◇◇◇
1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。