プロ野球日本シリーズ第3戦が31日、甲子園球場で行われ、オリックスが5ー4で阪神に競り勝ち、対戦成績を2勝1敗としました。

 この試合で珍しい場面がありました。オリックスは五回、1点勝ち越し、さらに一死一塁から投手の東が投前にバントし、捕球した伊藤将が二塁に悪送球。東は一塁走者として残りました。

 ここで東は故障防止のために分厚く、大きい手袋を着用。オリックスベンチからは肩を冷やさないようにウインドブレーカーが運ばれ、東は着用しようとしたが、何度試しても手袋が袖口を通らず、満員の阪神ファンか揶揄するような罵声が。

 東は照れ笑いのような表情でウインドブレーカーを着用しないまま、一塁走者に残りました。この動作に、緊張していた球場の雰囲気が和らぎ、二死後、シリーズ無安打の宗がフルカウントから右中間を破る2点二塁打。宗にとってプレッシャーから離れることができた、東の仕草だった気がします。

 育成出身で6年目の今季に躍進し、無傷の6連勝を飾った23歳は、指名打者制のないこの試合が初の「打席」であり、「走者」だったわけで、試合中のウインドブレーカー着用も初体験。こうしたことが「珍事」の原因でした。

 初の日本シリーズ先発で、5回を5安打、1失点の好投を披露し、初勝利。苦労人が晴れ舞台で羽ばたくことができました。

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 1984年の王監督の時代から藤田、長嶋、原監督の時代まで、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。