史上最多の高校通算140本塁打をマークした花巻東高校(岩手)の佐々木麟太郎が10日、締め切りが12日に迫った「プロ野球志望届」を提出せず、米国の大学へ進学することを表明しました。鹿児島国体の履正社高校(大阪)戦で敗れた後、語ったもので、26日のプロ野球ドラフト会議で上位指名の候補だった選手が、ドラフト前に米国の大学進学を表明するケースは異例と言えます。

 同校の先輩、大谷翔平(エンゼルス)は、高校時代に「大リーグに挑戦したい。プロ野球へは進みません」と公言したが、ドラフト会議で日本ハムから指名されると、熟慮の末、入団しました。結局、プロ野球で実績を残した後、メジャー入りし、本塁打王に輝くなど、投打の二刀流で大活躍しています。

 佐々木の父、洋さんは花巻東高校の野球部監督で大谷を指導しました。麟太郎が中学時代所属した金ヶ崎シニアの監督は大谷の父、徹さんだという関係から、麟太郎も大谷と同じ道を進むかと思われていました。

 しかし、選んだ道は「米国の大学進学」。大リーグでは、高校から入団した場合、ルーキーリーグから始まって1A,2A,3Aとマイナーリーグで数年過ごし、そこでの実績が認められて初めてメジャーに昇格するのが通例です。しかし、大学生で入団した場合、今季のノーラン・シャヌエル内野手(エンゼルス)のように、「大卒入団即メジャーでプレー」ということがあります。

 9月に10日間ほど渡米し、複数の大学の施設を見学したという佐々木。184センチ、113キロの恵まれた体格を生かした長打力に、米国の大学でさらに磨きがかかるか、注目したいと思います。佐々木が好結果を残せば、「甲子園で活躍→米国大学で好成績→メジャー」という、新たな道筋が出来ていくでしょう。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。