44本でア・リーグ本塁打王争いトップを走る大谷翔平(エンゼルス)。2位のルイス・ロベルトJr(ホワイトソックス)が8月30日に35号を打った後、12試合本塁打が出ず、大谷と9本差がついていた時は、「大谷の本塁打王ほぼ確定」と報じられていました。

 しかし、9月18日のナショナルズ戦で13試合ぶりに36号を打つと、翌19日の同カードで2試合連続の37号。さらに23日のレッドソックス戦でも38号を放ち、6本差に迫ってきました。

 さらに、昨季ア・リーグ新記録となる62本塁打を打ったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)は22日のダイヤモンドバックス戦で3打席連続本塁打をマークし、一気に35号まで伸ばし、大谷とは9本差としました。

 2年前に大谷が46本塁打を打ちながら、本塁打王を逃した時、オールスター戦までに1位の大谷とは12本差で9位だったサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)が、後半戦に27本打ち、最後はブラディミール・ゲレーロJr(ブルージェイズ)とともに48本でタイトルを獲得したことがありました。

 日本のプロ野球でも、1972年のパ・リーグで、オールスター戦時点で1位の大杉勝男(東映=現日本ハム)に14本差だった長池徳士(阪急=現オリックス)が、8月に10本、9月に15本と量産し、大杉40本、長池39本で最終戦を迎えました。そして最終戦で長池が2本打ち、長池が逆転で本塁打王になったことがありました。

 残り試合は、ホワイトソックスが7試合、ヤンキースが8試合で、確率的に「逆転」はゼロに近いと思います。大谷は来季以降に備えて、既に手術を受けて、今季は終了しています。ロベルトJrやジャッジなどライバルたちの打撃に最後まで注目するとともに、最後は「祈る」ことしか大谷自身と、大谷ファンには残っていないのが現実です。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。