第105回全国高校野球選手権記念大会の決勝戦が23日、甲子園球場で行われ、丸田湊斗の夏の甲子園決勝戦史上初の先頭打者本塁打で先制した慶応(神奈川)が、8-2で仙台育英(宮城)を破り、1916年の第2回大会以来、107年ぶりの優勝を飾りました。

 慶応は一回、先頭の丸田がカウント2-2の5球目、先発・湯田統真の内角スライダーをフルスイング。この季節の甲子園は、右翼から左翼へ風が吹くことが多いが、この日は左翼から右翼へ強い風が吹いており、その風に乗って、打球は右翼席へ吸い込まれ、1点先取しました。

 「107年ぶり」を期する慶応OB、OGも加わった大応援団は、先頭打者アーチでボルテージは高まる一方で、その勢いに乗った打線は二死一、二塁から渡辺千之亮の適時打で追加点を奪い、主導権を握った慶応が13安打で着々と加点し、仙台育英を突き放しました。

 決勝戦での先頭打者本塁打は、春の選抜大会では1982年にPL学園(大阪)の佐藤公宏が二松学舎大付(東京)戦で、2017年の大阪桐蔭(大阪)の藤原恭大が履正社(大阪)戦で、それぞれマークしています。

 それにしても、「100年以上ぶりの優勝」といのは、あらゆるスポーツ界を探索しても、そうあることではありません。大リーグでシカゴ・カブスが1908年のワールドシリーズ優勝を果たしてから、2016年に108年ぶりに優勝した例があるくらいです。

 日本では、7月の大相撲名古屋場所で、新入幕の伯桜鵬が千秋楽まで優勝を争ったが、もし優勝したら、「109年ぶりの新入幕優勝」を果たすところでした。それほど慶応の「世紀を越えての優勝」は歴史的なことで、まさに「陸の王者」の優勝でした。

 敗れた仙台育英も、昨年は史上初の東北勢の優勝を果たし、今年も史上7校目の連覇を目指して決勝戦まで進出するなど、健闘を讃えたいと思います。堂々と胸を張って仙台に帰ってほしいと、全国の高校野球ファンは感じたことでしょう。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。