昨年、東北地方のチームとして史上初の優勝を飾った仙台育英高(宮城県)が、第105回全国高校野球選手権開幕日の第3試合に登場しました。対戦相手は強豪・浦和学院高(埼玉県)で、いきなり優勝候補同士の組み合わせとなりました。
仙台育英高は、150キロ超の速球を投げる投手を3人擁するが、その中から、背番号「10」の右腕・湯田統真を先発に抜擢しました。左に巧打者が多い浦和学院高打線には、内角に鋭いスライダーを投げる湯田が最適と、須江航監督が判断したためです。湯田が一回表を無得点に抑えると、その裏、仙台育英高打線は、山田脩也主将を中心に安打を重ね、一挙4点を先取しました。
初回の攻防で主導権を握った仙台育英高は、打撃戦の末、19ー9で浦和学院高を破り、「連覇」を目指して二回戦に駒を進めました。
しかし、連覇は容易なことではありません。夏の選手権を連覇したのは、過去104回の歴史の中で、わずか6校(3連覇1校を含む)。その内訳は、1921年、22年の和歌山中(和歌山県)、29年、30年の広島商(広島県)、31年~33年の中京商(愛知県)、39年、40年の海草中(和歌山県)、47年、48年の小倉中、小倉高(福岡県)、2004年、05年の駒大苫小牧高(南北海道)となっています。ほとんどが戦前、あるいは終戦直後で、最近では駒大苫小牧高が成し遂げただけです。
このように連覇は至難の業だが、仙台育英高にとって、良いデータがあります。それは最後に達成した駒大苫小牧高が、史上初めて北海道の高校による優勝を飾った翌年も制したことです。
仙台育英高も初めて東北地方の高校に深紅の優勝旗が渡った翌年だけに「駒大苫小牧高に続け」という気概で大会に臨んでいると思います。
戦力的にも、湯田のほか、右腕・高橋煌稀、左腕・仁田陽翔の150キロ超の投手3人を擁し、打線も山田を軸に切れ目がなく、連覇を狙う実力は十分あると、高校野球ファンに印象付けた試合でした。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。