米大リーグ、アスレチックスは19日(日本時間20日)、藤浪晋太郎投手(29)がオリオールズにトレードで移籍すると発表しました。
阪神からポスティングシステムを利用して移籍した藤浪は、メジャー1年目の今季、開幕から先発ローテーションに入ったものの、好結果を出せずにリリーフに。5月12日に初勝利を飾り、最近では11試合連続無四球など課題だった制球力も安定するようになりました。34試合に登板し、5勝8敗、防御率8・57。
オリオールズは、ア・リーグ東地区で21の勝ち越しで首位に立っています。同西地区で44の負け越しで最下位だったチームからのトレード。ポストシーズンでプレーできる可能性が高まりました。
大リーグのトレードの起源は7月末で、2012年にはマリナーズとの5年契約の最終年だったイチローが、突然ヤンキースに移籍したのも7月23日。17年7月31日にはレンジャーズのダルビッシュ有が3人のマイナー選手との交換でドジャースに移籍しました。
日本のプロ野球でも、これまで多くのトレードがありました。
1963年のオフには、本塁打王2回、打点王4回、首位打者1回の大毎(現ロッテ)・山内一弘と、20勝を4回マークすなど通算176勝の阪神・小山正明の「世紀のトレード」。
75年オフには首位打者7回の日本ハム・張本勲と、巨人で20勝を2回の高橋一三、打率3割を2回の富田勝の1対2のトレード。
79年オフには、浪人していた江川卓をドラフトで指名した阪神と、巨人・小林繁の、コミッショナー裁定によるトレード。
86年オフには三冠王3回のロッテ・落合博満と、中日・牛島和彦、上川誠二、平沼定晴、桑田茂の1対4のトレード――などなど。
プロ野球ではシーズンオフが多いのに対し、メジャーではシーズン中の7月がほとんどです。大リーグは7月ごろに優勝やワイルドカードでプレーオフに出場できる上位チームと、その可能性がほとんど消えた下位チームがはっきり分かれます。上位チームは即戦力となる強豪選手を獲得し、ポストシーズンの勝利を目指します。これに対し、下位チームは来季の再建のために主力を放出し、代わりに若手有望選手を集めるためです。
このため、大リーグでは7月にトレードに出されることは、選手にとって大きな名誉となります。一方、日本のプロ野球はチームとの確執や、活躍の機会を与えられないために新チームでやり直すといった、どちらかと言えば「負のイメージ」がつきまとってきました。藤浪は、「大きな名誉」と思って、首位オリオールズの一員として活躍してほしいものです。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。