米大リーグのホームラン(HR)ダービーが10日(日本時間11日)、シアトルで行われ、2019年準優勝のウラジミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)が決勝でランディ・アロザレーナ(レイズ)を破り、初優勝を果たしました。米国野球殿堂入りした父ブラディミールさんも07年に優勝しており、史上初の親子制覇を成し遂げました。

 1985年、オールスターゲームの「前座」として始まったHRダービーは、当初は10スイングしての総本塁打数というシンプルなものでした。しかし、入場券の高騰やテレビ局のビジネス戦略などもあり、「ベースボール・ショー」として大きなイベントとなり、毎年のように優勝の決め方、戦い方が変わってきました。現状は、134メート以上の本塁打2本で30秒のボーナス時間を得るなど、初めて見るファンには簡単に理解できないようなルールまで作っています。

 優勝賞金100万ドル(約1億4000万円)など、総額250万ドル(約3億5000万円)の高額イベント。日本のプロ野球HRダービーの優勝賞金100万円は、メジャーの100分の1以下です。高額のため、低年俸の若手スラッガーには魅力十分で、2019年に優勝した新人のピート・アロンソ(メッツ)は年俸の倍近い賞金を獲得しました。

 一方、HRダービーの「弊害」も指摘され、短時間により遠くへ飛ばそうと、実戦とはほど遠いスイングを繰り返すために、調子を崩す選手も数多く見られてきました。2年前の大谷翔平(エンゼルス)も、本塁打数が前半戦の33本から後半戦は13本と激減したのも、HRダービー出場の影響と指摘する声もありました。今季両リーグ通じて32本塁打でトップの大谷が、今回出場しなかったのも、こうしたことが理由なのかもしれません。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。