米大リーグ、カブスの鈴木誠也選手は19日(日本時間20日)、ピッツバーグで行われたパイレーツ戦に出場したが、球場の「PNCパーク」を訪れた際、感慨深げに見入っていたのが、故ロベルト・クレメンテさんの銅像でした。

 クレメンテさんはプエルトリコ出身で、1955年から72年まで、パイレーツ一筋で活躍した通算3000安打を誇る外野手。選手としても66年にMVP、4度の首位打者獲得など数々の栄冠に輝いたが、それ以上に米国のファンに知られているのが「ロベルト・クレメンテ賞」という賞として氏名が冠されていることです。

 米大リーグは、「コミッショナー賞」として、人格者で慈善活動を精力的に行っているメジャーリーグ選手に対し、71年から年に1人表彰することを始めたが、72年にクレメンテが慈善活動中に事故死したことを受けて、73年から賞の名前にクレメンテの氏名が付けられました。その事故とは、72年12月31日、その年に起きたニカラグア地震の被災者への救援物資を提供するため飛行機で向かう途中に航空事故に巻き込まれたものです。

 71年の初の受賞者はウィリー・メイズ選手(ジャイアンツ)で、その後名立たる選手が受賞してきたが、まだ日本人メジャーは受賞していません。ただ、日本のプロ野球で同様の趣旨の「ゴールデンスピリット賞」が99年から始まり、最初の受賞者が松井秀喜選手(巨人ーヤンキース)で、その後、2010年にダルビッシュ有投手(日本ハム、現パドレス)、昨年は吉田正尚選手(オリックス、現レッドソックス)など、メジャーで活躍の選手もいます。

 野球選手としての最高栄誉であるMVPに匹敵すると言われる「ロベルト・クレメンテ賞」。MVPは2001年にイチロー選手(マリナーズ)、21年に大谷翔平選手(エンゼルス)が受賞しているが、「ロベルト・クレメンテ賞」に日本人メジャーの氏名が刻まれる日が、早く来てほしいと思います。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。