米大リーグ、レンジャーズ対エンゼルス戦が13日(日本時間14日)、テキサス州アーリントンで行われ、エンゼルスが7-3で逆転勝利を収め、ア・リーグ西地区首位レンジャーズとのゲーム差を4・5に縮めました。

 エンゼルスの大谷翔平選手は、2打数2安打、3四球、1盗塁で勝利に貢献。連続試合安打は10に伸ばし、盗塁数も2ケタの10に乗せましたが、こうした数字以上に大谷の凄さを見せたのは、七回の打席でした。

 エンゼルスは1点リードの七回、安打と四球の無死一、二塁から、9番ネトがバントを決め、一死二、三塁。今季チーム初の犠牲バントで追加点の好機を迎えました。ここで、レンジャーズのボウチー監督(67)は、打席が1番の右打者ウォードなのに、投手を打たれ始めた右腕のホワイトから、左腕のバークに交代しました。過去ワールドシリーズを3度制し、歴代12位の通算2044勝の経験、実績とも申し分のないボウチー監督がなぜ右打者に左投手をぶつけたのでしょうか。

 その理由は2番に大谷がいたからです。大リーグでは2020年からワンポイント起用は禁止され、投手は最低でも3人と対戦するか、登板イニングを終えるまで交代できません。ここでウォードは三振で二死二、三塁となり、「左打者大谷対左投手バーク」なのに、ボウチー監督は大谷を申告敬遠で満塁とし、右打者の3番ドゥルーリーとの勝負を選びました。ドゥルーリーは三振に終わり、「名将ボウチー」の作戦は成功しました。

 どうせ大谷を申告敬遠するなら、ウォードの時に右投手でよかったのでは、と思われるが、もしウォードが四球で満塁になった場合、大谷と勝負しなければならず、そのために左投手を投入したわけです。大リーグを代表する監督が、これほど警戒する大谷。「20本塁打、10盗塁、10試合連続安打」などの数字以上に、大谷の存在そのものがレンジャーズ投手陣に恐怖心を呼び、両チームにとって大事な4連戦でエンゼルスが連勝できた原因のような気がします。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。