「伝統の一戦」の起源とされている1936年当時のユニホームを両球団が着用した阪神―巨人戦が26日、甲子園球場で行われ、阪神が2-1で巨人に逆転勝利しました。
手に汗握る投手戦の先発マウンドに上がったのは、ともにアマチュア時代は無名の投手でした。阪神の桐敷拓馬投手(23)は、埼玉・本庄東高校という春夏とも甲子園出場経験のない高校から、新潟医療福祉大学という全国的には無名の大学を経て2021年のドラフト3位指名で入団しました。ルーキーイヤーの昨季は7試合に登板したが、勝ち星はゼロ。今季はこの日の試合が初登板、初先発でした。しかし、試合前のブルペンで変化球の調子が悪く、プレーボール後は、速球主体の投球。これが功を奏し、一回に2三振を奪うと、その後も毎回の10奪三振を奪う力投で、結局、7回投げて5安打、1失点、プロ入り初勝利を飾りました。
一方、巨人の横川凱投手(22)は大阪桐蔭高校出身で、3年次には春夏連続優勝した一員だったが、投手としては柿木蓮(日本ハム)、根尾昂(中日)に次ぐ3番手で、甲子園の登板の機会はわずかでした。それでも潜在能力を買われ、18年のドラフト4位で入団。昨季まではプロ未勝利だったが、今季は柿木、根尾に先んじてプロ初勝利を挙げるなど3勝2敗と飛躍しました。この日は、プロでは初登板となる甲子園で、6回を投げ3安打、6三振、無四球、無失点と好投を披露し、勝利投手の権利を得てマウンドを降りたが、後続投手が打たれて4勝目は逃しました。
コロナによる応援自粛も解除され、再び大声援が戻ってきた甲子園での伝統の一戦。プロ初勝利を目指す桐敷、甲子園プロ初登板での勝利を期す横川ーーフレッシュな2人の投げ合いに、大観衆のボルテージは高まる一方の見ごたえのある試合でした。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。