ベーブ・ルースの生誕地・米メリーランド州ボルチモアで行われたオリオールズ対エンゼルス戦で、「3番、投手」の二刀流で出場したエンゼルスの大谷翔平選手。「先発投手でサイクル安打」という大リーグ史上初の快挙こそ逃したが、「チームトップの5勝、4安打、5出塁」という投打での大活躍で、チームの連敗を2で止めました。

 投手としては、1点リードの二回に2ラン、逆転して再び1点リードの三回にまたも2ラン。5点リードの五回にソロと、自己ワーストタイの3本塁打を浴びました。結局、7回投げて98球、4安打、5三振、2四球の5失点と、好調ではありませんでしたが、リリーフ陣に負担がかかる中、7イニング投げたことは、先発投手としての最低限の役目は果たしたと言えそうです。。

 一方、バットは「打ち出の小槌」のように安打を量産。一回の第1打席は四球。三回の第2打席は中前打。四回の第3打席は同点の一死、一、二塁から飛距離139メートルの特大右中間3ランで勝ち越し。五回の第4打席は右中間三塁打。これで、ベーブ・ルースをはじめだれも成し遂げていない「先発投手でサイクル安打」に、二塁打を残すだけとなりました。だが、七回の第5打席は二塁ゴロ。こうして、九回のエンゼルスの攻撃となったが、簡単に二死を取られ、打席にはマイク・トラウト選手。トラウトはフルカウントから四球を選び、大谷に打席が回ってきました。

 ここで大谷は左前の単打で、惜しくも快挙達成とはなりませんでした。それでも、今季初の4安打。さらに「投手の1試合5出塁」は、1964年9月26日にヤンキースのメル・ストットルマイヤー投手以来59年ぶりの記録となりました。打率も3割3厘と3割に乗せ、9本塁打、29打点と、打つ方は絶好調です。オリオールズのブランドン・ハイド監督も「この惑星で最高の選手だ」と称えるしかありませんでした。

     ◇◇◇◇

 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。