米大リーグ・アスレチックスの藤浪晋太郎投手が12日(日本時間13日)、本拠地で行われたレンジャーズ戦で、2点リードされた延長十回表、一死一、二塁の場面で登板し、1四球を与えて満塁にしたが、無失点で切り抜けました。その裏、ブレント・ロッカー選手の逆転サヨナラ3ランが飛び出して、11試合目の登板でメジャー初勝利を飾ることができました。この勝利の陰には、10日(同11日)の敵地で行われたヤンキース戦での心情の変化があったようです。
藤浪は今季からメジャーに挑戦。4月1日のレイズ戦での初先発で2回3分の1を投げ、5安打3四球、8失点でKOされて以来、先発する度に大量失点を喫し、同22日のレンジャーズの戦2回3分の1、8失点を最後に先発から中継ぎに降格されました。しかし、リリーフに回ってからも失点は続き、唯一5月2日のマリナーズ戦での1回、無失点を除き、失点する登板が続きました。そして同7日のロイヤルズ戦までの9試合で、20回3分の2を投げ、27安打、33失点の防御率13・94という結果でした。
こうして迎えたヤンキース戦。藤浪は、9点リードされた五回途中から3番手で登板すると、2回3分の1を無安打無失点、1四球、2奪三振と、好投しました。「負け試合での登板」という屈辱的な内容だったが、マーク・コッツェイ監督から、マウンドに上がった時に「ヤンキースタジアムを楽しめよ」と言われたことで、童心を思い出し、「リラックスしてカウントを取りに行けたのが良かった。楽しめました」。
コッツェイ監督は10日のヤンキース戦で35球のロングリリーフを投げた藤浪を、「12日のレンジャーズ戦に登板させるつもりはなかった」と言います。しかし、これ以上の失点は許されない緊急事態での投入を決意。藤浪も快く受け入れ、マウンドに上がりました。結果は14球中、ストライクが9球。2日前のヤンキース戦に続き、制球力に改善を見せました。その裏、逆転サヨナラ3ランが飛び出すと、藤浪は満面の笑みで、今季ようやく9勝目となったチームの勝利と、自らのメジャー初勝利を心から喜んだ様子でした。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。