中日ー巨人戦が、ゴールデンウィーク最終日の7日、名古屋のバンテリンドームで行われましたが、かつて優勝争いを何度も演じた伝統ある両チームの対戦が、「最下位争い」という寂しい戦いとなりました。試合は、「侍ジャパン」最年少の中日・高橋宏斗投手と、巨人・赤星優志投手の投手戦の結果、中日が2-1で競り勝ちました。

 巨人と中日は、阪神とともに、1936年のプロ野球(日本職業野球連盟)発足の時代から親会社が変わらない「老舗」の球団。「巨人ー阪神」が「伝統の一戦」と言われる一方、「巨人ー中日」は親会社が読売新聞と中日新聞ということで、注目を集めてきたカードです。

 この親会社の変遷を見ていくと、どの業種が栄えていたかという日本の経済状況もわかってきます。新聞社は発行部数を増やす材料として、読売、中日以外にも、毎日、産経、西日本が球団を持っていました。阪神のような鉄道会社は乗客の増加や沿線の開発などのために球団を保有し、阪急、近鉄、南海、西鉄、国鉄、東急、西武が、名を連ねました。映画産業や芸能会社が栄えていた頃は松竹、大映、東映。食品会社は大洋漁業、ヤクルト、ロッテ、日本ハム。現在はソフトバンク、楽天、DeNAといった通信、IT企業が増えています。

 1994年の「10.8決戦」は、巨人と中日の最終戦時の勝率が同率首位で並び、「勝った方が優勝」というプロ野球史上初めての一戦でした。まだ開幕からひと月余りで、両チームとも浮上するチャンスはいくらでもあります。オールドファンからすると、「10.8決戦」の再現のようなペナントレースを期待したいところです。

    ◇◇◇◇

 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。