前夜のパ・リーグに続き、セ・リーグも開幕し、巨人は中日と対戦しました。MLBでは大谷選手が開幕投手、3番打者の二刀流で投打に活躍しました。

 巨人と大谷選手の戦い方を見ていて、ふと23年前に長嶋監督(巨人)と王監督(ダイエー=現ソフトバンク)に同じ質問をして、好対照な答えが戻ってきたことを思い出しました。

 その質問とは、「もし、今のチームにV9時代のONがいたら、どうですか?」というものでした。これに対し、長嶋監督は「それはよだれが出ますよ。V9の時は打撃三部門のタイトルはONでほとんど取っていましたし、リードされた試合でも七回あたりなると『そろそろ逆転するぞ』の掛け声で半分以上ひっくり返したものですよ」と嬉しそうに話していました。

 一方、王監督は「ONよりも、15勝以上の投手と強力なストッパーがいる方が今のチームには必要です。打力より投手力の方が計算できますから」と、世界のホームラン王から意外な答えが返ってきました。

 もちろん、この質問に「正解」はなく、その時のチーム状況や選手、監督時代を通しての経験値から様々な答えが出てくることでしょう。

 23年前の2000年は、巨人とダイエーがリーグ優勝を果たし、「ON決戦」も日本シリーズは巨人が制しましたが、さて、23年後の現在なら、同じ質問にONとも違う答えが返ってくる気がしてなりません。

 というのも、現代野球には、投手としてチームのエース、打者としてチームの中心打者の大谷選手が存在しているからです。WBCでは投打に大活躍して日本を世界一に導き、MLB開幕戦では投手として6回を2安打、10奪三振、無失点。打者としてもクリーンヒットを放ち、後続の投手が打たれて勝利投手こそ逃しましたが、好スタートを切りました。

 こうした大谷選手のような二刀流を目指す選手が今後増えていけば、「二刀流がほしい」という答えになる気がします。

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 某新聞運動部記者として、1984年の王監督時代から、藤田、長嶋、原監督と、巨人を20年以上担当。新聞社は退職しましたが、好きな野球に関する独り言を綴っていきたいと思います。