先日、とあるお子さんがお母様と一緒に私の外来にいらした。

詳しいことは当然ここでは書けないが、学校になかなか行けない状況だった。

 

私はその子のことを心配するのと同時に、うちの娘たちのことも心配になった。

私は、この子の話を聞くように、娘たちの話を聞いてあげられているだろうか。

目を見て、傍らに座り、批判的な言葉は慎しみ、頑張っているねと受容してあげているだろうか。

正直、自信がない。

仕事としてはできるのに、どうして親の立場になると、できなくなるのだろう。

親業は本当に難しい。

 

親だからできることと、親だからなかなかできないこと、他人の方がかえってやりやすいことがあるのだと思う。

時に、親には話せない心うちをそっと打ち明けてくれるお子さんがいる。

親御さんと一緒の時とは違う表情を、一人の時には見せてくれるお子さんもいる。

きっとうちの娘たちも、親の知らない一面がこれからどんどん増えていくだろう。

子供の成長を支える大人は親だけではないはずだ。

いろいろな大人と関わり合いを持って、多面的なものの見方、考え方に触れることで、子は健全に成長するのかもしれない。

 

私も仕事として多くの子供たちと関わり、親御さんとは違う形で彼ら彼女らをサポートしていければと思う。

それと同時に、親としても、学校の先生や塾の先生など、周囲の力もお借りしながら、娘たちの健やかな成長を支えていきたいと思う。

 

最後に、心の健康と身体の健康が何よりも大切である。

健康を犠牲にしてまでやらないといけない勉強も、守らないといけない人間関係もないはずだ。

元気があればなんでもできる。

健康でいさえすれば、大抵のことはどうにかなる。

学校に行けない子供たちに、どうか光射す未来が訪れますように。