図書館って? 公共の意味ってなに? …の巻 | The Sam's Room

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ジェット機で、ブンと飛んで…
 
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飛行機って良いな。
なんかワクワクするなぁ。
 
遠くに出かける…
空を飛ぶ…
 
二つの高揚感があって、すごく好き。
 
空港の雰囲気も好きだな。
あの独特のアナウンスも好き。
 

で、
関空発、九州へ。
 
関空から離陸、背中にグッと『G』を感じる一瞬が好き。
飛び上がると、機はグゥ~と旋回して、眼下には…
 
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ほら…

明石海峡大橋が望めます。
 
程なくすると、
 
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『家島諸島』…

大阪城の石垣もこの島の石が多く使われているなぁ。
昔、ココの民宿ですごい量のシャコエビをサービスで食べさせてもらったなぁ…
 
 
そんなこんな事を思い出しつつ、眼下に瀬戸内海を望みながら機は九州博多空港へ。

さてさて、今回は主な目的地は『博多』なんだけれど、その前に佐賀県・武雄市に用事があってやってきました。
 
博多からレンタカーで武雄市へ。
約1時間20分くらいで武雄市…
 
細かい仕事の話しはパス。だってそんな話しは全然オモロナイし…。

 
で、別のお話を。
 
今日のお話はクソオモロナイ話しです。
しかも、ちょっと批判的かもしれませんので、気分が悪くなった方は是非とも(!?)パスして下さいませ。
真面目な話しをいたします…ナンチテ。
 
で、

武雄市と言えば、全国にアピールして有名になったモノがあります。
それは…
 
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『武雄市図書館』…
 
市長が『指定管理』を『CCC』に選定したという図書館。
CCC… もっとわかりやすく言えば、『TSUTAYA(ツタヤ)』、あの本屋さんのツタヤですね。
 
 
ワタシも興味があったモノですから行ってみました。
 
以下がワタシの目に映った『武雄市図書館』の姿…
 
この図書館、マスメディアが取り上げて大きな話題となりましたよね。
公立図書館の中に『TSUTAYA』が入って、『スターバックス』も同居しているというシロモノです。
それが良いか悪いかという問題はさておき、入館者が4倍になったという事実は事実。そしてテレビなどのマスコミに取り上げられて超有名になったことも事実です。
マスコミの論調では持ち上げることばかりで、『素晴らしい』と絶賛されています。
 
 
 
ワタシ…
偏屈モノ(!?)のワタシの目には『諸手を挙げてバンザァ~イ』とは思えないのですが…。
 
いえいえ、ケチをつける気など毛頭もございません。
こういうやり方もあるよね…とは思います。
コレはコレで大成功かもしれません。
 
 
でも、
しかし、
but…
 
果たしてそれで他の公共図書館も『右へならえ!』と絶賛して良いモノかというのは疑問が残ると思うのです。
毎日のように『視察』が訪れているようです。
と言うことは、コレを見習おうという意思の表れなのでしょうか?
全国の図書館は来館者不足で苦境に立っていることの表れでしょうか?

 
では、冷静に考えてみましょう。
 
武雄市図書館の場合…を。
 
■金銭面で指定管理にするということ
・指定管理料を市が『TSUTAYA』に支払います。ツタヤに市から払う金額は5年で5億5千万円!!!!
・リニューアルに市が4億5千万円を投じました。( TSUTAYAは3億円を投じました。)
 大きな補修には今後も市がその費用を負担します。 
・CCCは賃料(家賃)を年間600万円、市に払います。
・全員で15人のスタッフのウチ、3人は市の職員です。

■スペースのこと
・入り口からの一番良いところのスペースは『TSUTAYA』の本売り場になっています。
・元々市の歴史資料館だった広大なスペースは『TSUTAYA』のレンタルCD・DVD店となっています。
・子どもの読み聞かせコーナーだったスペースは『スターバックス』になりました。

市長の説明では、図書館を年中無休にし、9:00~21:00開館にすると年間費用として直営では2億3千万円かかる(現行では1億4千5百万円)と試算して、『コレでは直営は無理』と判断して『指定管理』の委託業務にしようと決断したそうです。でも、この計算ってちょっとヘンだと思いませんか? 色んなモノを付け足してMAXで試算して、指定管理の方が『お得』だということに持って行ってるような気がしてならないのはワタシだけ!?

確かに来館者は増えましたし、図書貸出冊数は2倍になったと喜んでおられますが、来場者が4倍になっても、貸出冊数が2倍…。この差は…!?
ちょっとココで疑問が生じますね。
 
 
要は…
『スターバックス』に来たり、『TSUTAYA』に本や雑誌、CDやDVDを借りに来る客が増えただけ!?
そう、『TSUTAYA』と『スターバックス』に客が集まったから来館者が増えたと言われても仕方が無いんじゃ…。
モチロン貸し出しも増えていますが、来館者数の増加に比例はしていません。
来館者が4倍なのに、貸し出しは2倍ですから…
 
すんませんなぁ…
ヘソマガリの意見で。
 
もう一度書きますが、決して『武雄市図書館』を否定しているのでは無く、冷静に分析するとこういうことが言えるんじゃないのぉ…ということです。
 
 
で、2つの疑問…
 
■疑問① 本当に経費節減になるのかな? 
年間に運営費を『TSUTAYA』に、1億1千万円を支払い、尚かつ市職員を3人出して、果たしてこれが『効率の良い運営』と言えるのだろうかという疑問。

管理委託する前は年間で1億4千5百万円の運営費でやっていたわけです。あと、2千万円ほど経費節減すれば『公立』で運営できるはず。運営委託費に、1億1千万円も出しているのだからそんなに経費節減とは言いにくいのでは無いのかな? 
 
もっと『公』が努力して自力で改革が出来なかったのでしょうか?
 
『TSUTAYA』に完全支配されているような気がしてならないのは… 気のせい?
東京・代官山の『TSUTAYA』とココって同じ様な気がして仕方が無い… 気のせい?

 
その上、施設が老朽化してくれば、市が建物のメンテを行うのが常識。
今後、リニューアルするにも、多くの予算計上が必要になるという疑念もありますねぇ…
 
 
■疑問② 公的責任の放り投げかも…
『TSUTAYA』のメリットは相当大きいと思う。
でも、『公』としてはそれで良いのだろうか。
それは…
『公的サービス』とは何かという疑問。そして、公的責任で『市民が望む図書館の企画運営を行う』という責任の放棄… ちょっと言い過ぎかもしれない、ゴメンねぇ。
 
でも、なにも『TSUTAYA』さんにお願いしなくても、もっともっと経費を節減しつつ、公的サービスを充実することだって可能なはず。『公』が知恵を出さずに、運営努力をせずに、特定管理(委託)に走るのはどうなんだろうか…。
『公共の文化サービス』をもっともっと自治体が考えても良いんじゃないかという疑問が残るのです。

『TSUTAYA』さんはあくまでも民間会社で有り、営利を追求する組織であることは確か。公共図書館とタッグを組むことのメリットは計り知れないほど大きなものでしょう。
対して、『公』はというと、話題性や来館者数ということについてはメリットはあるけれど、『公的責任』という面ではいかなるモノであろうか。
 
神奈川県でもこれに追従して『ツタヤ図書館』が2014年から開館するらしい。

再度、しつこいほど書きますが、『武雄市図書館』の評判は決して悪いモノでは無く、新たな流れであるとも言える。ワタシは決して否定はしない…
 
でも、本当にコレでイイの?
公共の精神は?
 
 
公立図書館は今曲がり角に立っているのは事実だ。公的予算の削減の問題だけでは無く、電子書籍の登場や、従来型の図書館の問題点は多々ある。
 
そこで一番言いたいのは『だからといって公的責任を放棄する』ような姿勢の問題を先ずは挙げたいと思う。
『公』は『公』の責任において『効率的』で『効果的』な『公共サービス』を提供する義務があるのである。
アイデアと住民の力を借りて『行政責任』で出来ることはあるのだ。
いや、それこそが今求められているモノかもしれない。

 
 
公的図書館でも、来館者を数十倍も増やし、貸出冊数を何倍にも増やした事例もある。
ここに二つの『公共図書施設』を紹介してみよう。
 
 
■W県 ア○×△ク(伏せ文字にしています、ゴメン)
5年前に『憩いの場』『交流の場』『学びの場』『情報発信の場』として開館。
音楽が流れ、スターバックスに似たカフェが入っている『本のあるカフェ』というコンセプトの公共図書館類似施設。敢えて『図書館』とは名乗っていないのがミソかも。
『武雄市図書館』よりも4年早くこのような施設を作った。
音楽が流れ、本を読みながら食事や珈琲などが楽しめる施設として開館した。あくまでも『公的施設』として運営する。
 
来館者は人口100人あたり525人。(全国平均は人口100人当たり134人)
図書貸し出し冊数は一人あたり12冊。(全国平均一人あたり5冊)
 
これは画期的な数字であると言っても過言では無かろう。
ここは、『武雄市図書館』に類似するように見えるが、武雄よりも4年も早く『本のあるカフェ』をいち早く取り入れ、会話が出来て交流が出来る公共図書施設として『公』が企画運営している点が全く違うところ。
どうすれば『市民に愛される図書館が出来るのか』を自治体自身が考え、大きな経費を掛けずに運営しているところに決定的な相違点がある。
貸し出し冊数や入館者が飛び抜けて多いことでも『愛される施設づくり』が公の手によってなされていることがわかる事例であろう。
 

■N県 まち○しょ××ソ(伏せ文字にしています、ゴメン)

『学びの場』『子育ての場』『交流の場』『情報発信の場』として建築された。
町民主体のプロジェクトで行事や運営を行っている。
図書館は町民の待ち合わせの場所であるという意味で『まちとしょ』であり、世の中を照らす場所であるとのことから『テラソ』とつけられている。
ここも『住民主体』で運営されているという点が『武雄市図書館』と全く違うところである。
『交流と想像を楽しむ、文化の拠点』として、町民プロジェクトが参画していることで、公共の文化サービスが生きており、文字通り『まちのひとたちでつくる、まちの図書館』という点が実に魅力的な図書館である。
 
 

図書館は曲がり角に来ている。

それは事実。
 
図書館は住民の一部のいわゆる『本好きのヒト』のためだけの施設であってはならない。情報の収集は元より、情報の発信基地で有り、また交流の場でなくてはいけないのに、本好きのヒトや学生、そして余暇が有り余るヒトのための案外閉鎖的な公共図書館もまた多く存在するのも事実であろう。
 
しかし、上記の2つの例は『公的施設』で、『まちの人のための、まちの図書施設。そしてまちの交流の場』であること、またコンシェルジュを置いているのも、これら2つの図書施設の共通するところである。

 
『まちの人に愛される図書館』とは一体何であろうか。
『図書館の持つ機能』とは一体何であろうか。
 
『武雄市図書館』のようなカタチもあろう。
『A○×ク』や『ま○としょ○×ソ』のような施設もあろう。
また、本格的な万能対応型大型図書館もあろう。

それぞれがそれぞれの役割を持っている。
 
要は…
『公共施設』である以上、『まちの人のための図書館』でないといけないのだ。
『まちの人に愛される図書館』であり、それが効率的に運営されていなければならない。
 
多分…
これからも自治体の苦悩はきっと続くのであろう…な。
 
がんばっておくれやす…
 
 
武雄市図書館は決して否定なし無いけれど、『ツヤタ色』が強いと公共の意味が無い。
全国の悩める図書館を持つところからは、ココに毎日のように視察団が押し寄せている。
 
ちょっと待った…
 
参考にするのは良いけれど『ウチもTSUTAYAさんと組んで…』と安直に考えるのはいかがなるモノだろうか。
全国に公立図書館ならぬ、『公立TSUTAYA 』がドンドン増殖するのは…
いかがなモノか?
 
自治体はもっと知恵を出して行けば、上記の例のように、予算も大きくかかることなく、そして市民に愛される『公立』の図書施設が出来るのだ。
 
『公』の持つ良さを十分い発揮して、商業ベースではない『憩いと交流と文化』のある施設づくりをしてもらいたいもだなぁ、なんて考えるのだ。
 
公の美点は『大いなるすばらしい無駄』にあるかもしれない。
言葉を換えると『かゆいところに手を届けられること』。
 
営利主義だと切り捨てるところに光を当てて、手厚いサービスを提供できる。
 
儲からないからしない…
営利幅の薄いところに手をつけていかない…
 
これが問題のあるところ。だから『公』だからできる、いや、『公』でなきゃ出来ないところがある。
 
ここのところをもっと考えていかなければならない。
 
入場者数や話題だけさらえば良いというモノではないという事。
経費節減を御旗にして安直に『公』を捨て、責任を丸投げしてしまうのは問題があると言うこと。
 
そういう事かな…
 
 
今回は難しい問題になってしまいました。
どんなモンダイ!?
 
ご批判、ご意見、色々あるとは思いますが、我が町の誇れる図書館、行きたい図書館…というのが理想ですな。
 
 
ドッチでも良い…
そう思われる人もおありかと思いますが、コレも税金の使い道ですから…ナンチテ
 
もっとがんばれよ!
 
公共の図書館!
 
…と言うことにしておきましょう!
 
最後にもう一言、『TSUTAYAさん』を否定していないのですよ、それだけはわかってね…
 
なぁんて…
 
たまにクソ固い話しもイイじゃないですか?
 
スンマセン、ワタシの勝手なお話…で。