僕と君が見た空~5~ | 僕と君が見た空。

僕と君が見た空。

馬鹿馬鹿しいブログだけどよってってねw

第一章 困惑

出ていこうとした僕の腕を
一ノ瀬悠という奴に掴まれた。

「なに?」

「いや。」

曖昧な返事。
こういううじうじしている返事は
どうも苦手だ。腹が立つ。

「いつまで掴んでるんですか。」

僕の言葉に女の方が反応した。

「じゃあさ、この家に住めばいいじゃない?」

「は?」

あまりにも変な発言にマヌケ
な声がでた。

「は、じゃなくて!私達みたいに此処に住んでしまえばいいじゃない。」

この女馬鹿か?
この家の主ではないのに勝手に決めて。

「確かにそれもいいな。賑やかで楽しそうではないか。どうだ君も住んでみないか?」

僕の腕を掴んでいる男は黙ったまま。
意味わからない。

「離してくれないか?」

「嫌だ。住むのなら離すが。」

「強制かよ。」

ほんと、この街の奴らの考えはいまいちわからない。

「でも、いい話だよー。なんたって宿代タダなんだから!」

……宿代タダ。
いい話過ぎる。
安くても宿代はかなりかかる。
しかも僕は金がない。他も何も持っていない。

頼むしかないのか。
でも、タダで住ませてもらうのは
さすがに、悪いと思う。

ずっとそんなことを考えていると、
ふと家の主が言った。

「悩むことなんてないさ。宿代は俺の手伝いしてくれればさ。」

そうか、そうだな。
それなら遠慮なく暮らさせてもらえる。

「では、お世話になります。」

「やった、これから家族ね。そういえば貴方いくつ?」

「14です。」

「私達と同い年だね、悠。」

「ああ。」

同い年?その大人っぽい顔で……。
はあ、ただ僕が童顔なだけか。

僕がぶつぶつと頭の中で
呟く。

「直球な質問をする。」

「あ、はい。」

「何故あんな路地裏でぶっ倒れていたんだ?」

倒れ……、ああ。
追いかけられていたんだっけな。

「知らない。そんなこと忘れましたよ。」
「知らない?あんな大怪我してたのにか。普通は覚えている。」

「貴方は馬鹿ですか?痛みや衝撃のショックで記憶は無くなります。一時的の記憶でもね。それか僕が普通ではないからかもですね。」

本当は覚えている。
だが、このことは誰にも話すつもりはない。
たとえ命の恩人だとしても、親しい友人だとしてもだ。