築古不動産投資は究極のSDGsの続き

 

 

日本のスクラップ&ビルド文化と対照的に、欧米の住宅文化は「維持・保全」を重視する点が特徴です。ここでは、欧米と日本の住宅文化の具体的な違いを以下の点で詳細に比較していきます。

 

 

1. 住宅の寿命とメンテナンス

 

 

日本

 

日本の住宅は、新築後20〜30年程度で価値がゼロとみなされ、解体されてしまうことが多いです。住宅の耐用年数が22年と短く設定されているため、多くの人々が住宅を「消耗品」として捉え、新築物件にこだわる傾向があります。というよりは、政府や関連業界からそう思うように洗脳されていると言った方が適切かもしれません。

 

 

欧州

 

一方、欧州では住宅の耐用年数が非常に長く、100年以上使われる住宅も珍しくありません。特にイギリスやフランス、ドイツなどでは、石造りやレンガ造りの住宅が多く、その堅牢さゆえに長寿命を保っています。また、古い住宅を価値ある資産と見なしており、メンテナンスを通じて価値を維持・向上させることが一般的です。

 

 

米国

 

米国の住宅も日本と同じく多くが木造ですが、その寿命は日本よりも格段に長いです。アメリカでは、住宅の耐用年数は50年以上とされ、適切なメンテナンスを施すことで100年以上住み続けることが普通にあります。住宅所有者は、定期的なメンテナンスやリノベーションを行い、住宅の価値を維持・向上させることが一般的です。特に歴史的な建物やヴィクトリア朝の住宅などは、住民が積極的に維持・管理を行い、長期にわたって住み続けることが一般的です。住宅の外観や内装のメンテナンスに対する意識も高く、DIY文化が根付いていることも特徴です。

 

 

2. 中古住宅市場

 

 

日本

 

日本の中古住宅市場は未だ発展途上であり、多くの人々が新築住宅を選好します。中古住宅の取引は少なく、その結果、中古住宅の価値は低く評価されがちです。この背景には、新築住宅の供給過多や税制優遇措置が影響しています。

 

 

欧州

 

欧州では、中古住宅市場が非常に活発です。特に都市部では、新築住宅よりも中古住宅の方が一般的であり、多くの人々が中古住宅を購入し、自分たちのライフスタイルに合わせてリノベーションを行います。中古住宅の取引が活発であるため、市場全体が成熟しており、住宅の資産価値も高く維持されています。

 

 

米国

 

米国でも中古住宅市場は大変活発です。多くの家庭が中古住宅を購入し、自分たちの好みに合わせてリフォームすることが一般的です。さらに、住宅の購入後も定期的にメンテナンスを行い、資産価値を維持・向上させる文化が根付いています。これにより、住宅の寿命が延びるとともに、住宅市場全体の活性化が図られています。

 

 

3. 住み替え文化

 

 

日本

 

日本では、一度購入した住宅に長期間住むことが一般的で、ライフステージに合わせた住み替えはあまり行われていません。この背景には、住宅の流動性が低く、中古住宅市場が未成熟であることが影響しています。

 

 

欧州

 

欧州では、ライフステージやライフスタイルの変化に応じて住み替えを行うことが一般的です。例えば、子供が独立した後に夫婦二人で過ごすための小さな家に移るケースや、逆に子供が増えたために広い家に移るケースなどが多く見られます。このような住み替え文化が根付いているため、住宅市場の流動性が高く、住宅の価値も維持されます。

 

 

米国

 

米国でも同様に、ライフステージに応じた住み替えが一般的です。アメリカでは、転勤や子供の進学、リタイア後の生活など、様々な理由で住み替えが頻繁に行われます。このため、住宅市場の流動性が高く、中古住宅市場も充実しています。

 

 

4. 政策と税制の影響

 

 

日本

 

日本では、新築住宅に対する税制優遇措置や補助金制度が整備されており、新築住宅の購入が促進されています。一方で、中古住宅に対する支援は少なく、その結果、中古住宅市場の発展が遅れています。

 

 

欧州

 

欧州では、中古住宅のリノベーションに対する補助金や税制優遇措置が充実しており、古い住宅を活用することが奨励されています。例えば、エネルギー効率を高めるためのリフォームに対する補助金制度などがあり、住民が積極的に住宅のメンテナンスを行う動機づけとなっています。

 

 

米国

 

米国でも、中古住宅のリノベーションやエネルギー効率向上に対する税制優遇措置が存在します。また、住宅ローン減税制度などが整備されており、住宅購入が促進されています。これにより、中古住宅市場の活性化が図られています。

 

 

まとめ

 

欧米の住宅文化は、日本のスクラップ&ビルド文化と対照的に、維持・保全を重視し、住宅の長寿命化を実現しています。中古住宅市場の充実やライフステージに応じた住み替え文化、適切な政策と税制の整備が、持続可能な住宅運用を支えています。日本もこれらの文化や制度から学び、築古不動産の価値を再認識し、持続可能な住宅運用を目指すべきです。築古不動産投資は、その一助となりうる有効な手段です。