あの時、父親に必要なアドバイスを送る事ができる人がいれば・・・。
ドライな判断でもいい・・・。
辛辣な言葉でもいい・・・。
キチンと経営者の悩みや、考えを整理し本人が気付いていない
いくつかの指針や、考えを伝えていれば・・・。
きっと違う結論があっただろう・・・。
自分がもっと大人だったら・・・。もっと社会の事を理解していれば・・・。
それは、冬のある日の事だった・・・。
前日から体調が悪く微熱の合った私は、朝、病院へ行きカゼの処方箋
をもらい、一度自宅に帰ってから会社へ行こうとしていた。
自宅に戻ると、誰もいないはずのリビングから物音がする・・・。
気になってリビングに行くと、会社へ行っているはずの父親と、父親の
会社で経理をしている叔母が深刻そうに何かをしていた・・・。
『会社は?』
突然の息子の帰宅に驚いたように尋ねる父親の表情は驚きと焦りで
引き攣っていたようにみえた・・・。
『医者に行ってたから今から行くよ!』
そう答える私に
『そうか・・・。じゃあ、気をつけて・・・』
『仕事、頑張って!』
父親と叔母は、上ずった声で言った。
『なんかがオカシイ・・・』
人の倍汗をかけ!を信条にいつも得意先を駆けずり回り、必死の形相
で働いていた父親の疲れ切った表情・・・。
いつも、威風堂々としていた父親の卑屈な笑み・・・。
何かが起きている・・・。
それは、崩壊へと突き進んでいる父親の最後の抵抗だったのかもしれない・・・