以前、日経225先物トレーダー、ついてる仙人氏にインタビューしました(マイルストーンズ刊『億トレIII』に収録)。
マーケット・スクランブルのWEBサイトにも、彼のブログが掲載されていますよね。

 

彼は、仕掛けのタイミングを慎重に選ぶものの、分割せずに、予定数量を一括で建てます。そのかわり、丁寧かつ計画的な手仕舞いを実行し、「乗れた」と判断したときも「見込み違いだ」と感じたときも、1回目と2回目の手仕舞いはけっこう早いタイミングで行うそうです。

それに対して私は、仕掛けのタイミングを慎重に考えるのは同じでも、さらに、分割を基本として少しずつ増やしていく方法でトレードしています。

「仕掛けは入り口だから、“石橋をたたいて渡る”イメージ」
「手仕舞いは、深くかかわっている玉からの撤退だから時間をかけない」
このように教わったからです。

彼と私は、ある意味、真逆ですね。
でも、どちらが正しいか、どちらが有利か、という議論はできません。
それぞれに一長一短があり、全体のバランスや考え方との整合性がポイントだ、と捉えてください。

相場の本の選び方は、難しいと思います。「売れている本が良書」とは限りませんから。
いろいろ読んでみるしかない、ということですね。

私は、ひたすら真面目な路線で本を書いていますが、それが投資家すべてに有益だなんて言いきるのは傲慢というものです。「ストイックすぎる」と感じて、ちょっと勉強する気だった人をフラフラ系に傾かせてしまうかもしれません。

だから、思いついたものから、多くの本を読んでみるべきだと思うのです。
ただし、自分なりの「ゴール」を考えておくことが大切です。

「この本を読むと、いま課題となっている〇〇が解決するかも」といった、自分なりの“狙い”ですね。
狙いが定まっていれば、たとえ狙いが外れたとしても、たまたま書いてあった別の情報に影響されることもないでしょう。
そして、次に読むべき本を見つけるための基準が明確に浮上します。

良書を見つけるのは難しいと述べましたが、絶対に避けてほしいことはあります。
「これをやれば、明日から儲かる」的な発想です。
慌てて結果を求めると、どうなるか……実は、そんな浮ついた希望に、ちゃ~んと応えてくれる本があるんですよね。

ところで、私が書いた、実践家のインタビュー集『億を稼ぐトレーダーたち』『凄腕ディーラーの戦い方』『億トレIII』(いずれもマイルストーンズ刊)は、業界内部の人にすこぶる好評です。

逆に、一部の一般投資家からは酷評されることがあります。
多くの実践家が登場するのに、「彼らの手の内がズバリ書かれていない」という点が、とても不満なのでしょう。

 

 

私が執筆したインタビュー集だけでなく、ほかの人が著した同類の本を読む場合、あるいは、ほかの投資家との相場談義をするときでも、「すぐに使えるラクラクな方法」を求めないように注意してください。