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一般の銘柄情報は、3月17日のブログで挙げたような条件が整っていないことが問題です。
まず、銘柄情報を受け取る投資家の戦略、好み、細かい計画などおかまいなし。
「ほら、いい銘柄あるよ!」とグイグイくるだけです。
情報の受け手は、どうしたって弱い立場です。
振り回されないようにするため、かなり強固な姿勢をつくり上げるべきです。
さて、そんな情報弱者、つまり平均的な個人投資家が、つい「おっ!」と感じてしまう情報がよく売れるもの、“商業的に出来のいい”情報です。
なぜなら、準備のない人が見ても、すぐに結論に達するからです。
この点に関して、林投資研究所が自慢できるポイントを簡潔に示します。
★いわゆる銘柄情報の排除★
「中源線シグナル配信」では、全銘柄について毎日のシグナル(中源線による分析結果)を配信しています。当然、銘柄によるパフォーマンスの優劣が見えてきます。ルールが定まっているために、「相性」の問題が起こるからです。
「中源線シグナル配信」のスタート時、最長31年間の過去データで検証した結果、パフォーマンスが良好かつ安定している(時期によるブレが少ない)ものを100銘柄選び、研究対象の「ユニバース」として、シグナル配信であるにもかかわらずチャート表示機能まで設けました。
この100銘柄が合併などで減って、現在は88銘柄ですが、減った分を補充したりしていません。
ちゃんと勉強している人でも、安易な銘柄情報を求めがちなので、新しい銘柄を補充して「スゴい銘柄を入れました!」と宣伝すれば、ビジネス的に響くと思います。補充に値する銘柄もあります。
でも、それが利用者を惑わせる可能性があるので、あえて手をつけずにいます。
★直近のパフォーマンスに焦点を当てない★
「中源線シグナル配信」のスタート時に行った検証で「ユニバース」銘柄を選んだのですが、その際、直近のパフォーマンスに目を向けないようにしました。
御法度とされる“カーブフィッティング”に私たち自身が近づいてしまうことのないよう、「今後も安心して使える」という観点を大切にしました。
相場の世界には、シグナル配信のサービスが数多くあります。とくにFXでは、多くの利用者がいるのではないでしょうか。
しかし、それらの中には、直近のパフォーマンスで銘柄を入れ替える業者もいます。
表に出ている銘柄は、いつでもピッカピカ! 完全な「あと出しジャンケン」です。未知の未来に向かってポジションを取り、継続的に売買するうえで、矛盾だらけの情報です。
情報そのものは、単なる素材です。
適正につくられたものかどうか、自分に合うかどうかを見極めることが大切なのです。
【個別株 フォローアップ 再検証】
弱保合が続くなか、足元で切り返した日経平均。トランプ関税、米国の景気後退懸念、円高と、弱材料に事欠かない状況に変わりはない。
メジャーSQだった先週、弱材料をきっかけに日経平均が急落。半年ほど続いた保合を下に抜けたが、個別の日本株は決して弱くなさそうだ。
3月3日の放送で紹介した「動き始め」の8銘柄を丁寧に観察して、個別銘柄の強弱感、日経平均とは明らかに違う温度差を感じ取ってほしい。
上記ブログのつづきです。
(1)では、「必ず相場で取り返す」と示しました。
でも、焦って計算してはいけません。
鉄則(2)として、
- やるべき計算
- やってはいけない計算
個別銘柄の売買を考える前に、どうしても「市場全体」を見ようとするでしょう。
株そのものの人気、市場のすう勢……たしかに見るべき点ですが、それよりも個別銘柄そのものの動きが極端に大きいことを意識するべきです。
一般的な市況解説のように、まずは日経平均の動き、それから個別の動きという順序には疑問が生じます。
「株が上がったか、下がったか」という強い情報が先にきてしまうからです。
実際に売買する銘柄の値動き、見込み通りに運んでいるか否か(予測とズレがあるか)を踏まえて、この先の自分自身の見込みはどうか……こんなデリケートな思考を展開するうえで、一般的な株に関する情報は“足かせ”というか“雑音”というか、ないほうがいいのです。
やはり、便利な分だけ焦点がぼやけるということでしょう。
誰だって独りだと不安なので、「みんなはどう思っているの?」「今日の動きには、どんな背景があったの?」と考えがちです。新聞でもネットでも、多数の投資家が読むものは、そんな不安に上手に応えています。便利すぎてしまうのです。
- 今日は上がったか下がったか
(日経平均の前日比) - その理由は何だったか
(誰もが共感しそうな大ざっぱな背景、取って付けたようなものが多い) - 個別に目立った値動き
(上記の日経平均の動向解説とは関係ない)
誰も見たことのない未来を当てる──そんなムチャな試みに正面から応えているようで、実は雑につくられた情報なのです。
そんな目線ではなく、時間の経過とともに変化する状況を見て、「どう対応するか」を考えなければなりません。
「中源線建玉法」も、強弱の判断をきっかけに行動し、その後の変化に対応するためのノウハウです。
いろいろな角度から、ちまたの「銘柄情報」を否定的に論じていますが、実は、条件が合えば成立するのです。
ファンドマネージャーの行動を想像してください。
広い範囲から投資先を探しますが、プロとして「狙い」はビシッと定まっています。
そのうえで、アナリストレポートなど「観点が常に同じ」情報を、コンスタントに入手しています。
個人投資家が、頻度や観点が定まらないまま銘柄情報を目にするのとは、全く異なる状況にあるのです。
うっかり多めに買ってしまって「どうしよう……」なんてことは、あり得ません。
このように、すべてが整っていると、「銘柄情報」がプラスに働きます。売買活動を混乱させる銘柄情報ではなく、売買活動を適切に前進させる要素となるのです。
彼らは銘柄情報を、大切かつ正しく扱います。
目新しいものに飛びついて、行動の方向性を変える存在ではないのです。
―3月19日のブログにつづく―