うねり取りとは、銘柄を限定し、数カ月単位の上げ下げを狙うトレード手法です。
短期の売買ではありませんし、ウォーレン・バフェット氏が行う“バイ・アンド・ホールド”の長期投資でもありません。また、有望な銘柄を見つけて入れ替えていく“選別投資”とも異なります。

トレードを職業のように位置づけ、狭い範囲だけを見てトレンドを読み、自らの基準でポジション操作を行いながら、株価変動の波を“泳ぐ”技術です。

個人的な感覚が中心の売買スタイルなので、実行のハードルが少し高い、説明もやや難しいのですが、それを支えるのが株式市場との“距離”、つまり株価変動を俯瞰(ふかん)する姿勢です。

多くの人が、日々の上げ下げについて理由を知りたいと感じます。
で、どうするか・・・
売買を実践しない経済記者による、取って付けたような市況解説を読みます。

読んだ結果、思考がどのように変化するか・・・
「〇〇だから上がった」「〇〇で下げた」と、常に結論を出さないと気がすまない、誰もがうなずく理由を見つけないと落ち着かない“からだ”になります。

これに対して、真の実践家は、もっとザックリとした捉え方をします。
端的にいえば、「今のトレンドは上向きか下向きか」を自ら判断します。

情報の多いローソク足を使わず、あるいは使っても、極めてシンプルな見方をします。
そして、トレンドが上向きならば、たとえ水準が高くても「買いだ」と考えます。
値動きに“ついていく”という、単純な行動を考えるのです。

この単純な行動の“核”となるのが、「先行きを当てようとしない」姿勢です。
いや、当てたいし、「当てよう」という気持ちで真剣に考えないといけないのですが、最初の予測に固執せず、素直に方向を変えていく柔軟な姿勢をもつということです。

値動きについていく柔軟な姿勢──うねり取りは、生き物のように変化する株価に、一歩だけ遅れながらも“合わせていく”姿勢を大切にします。
そこで重要となるのが「分割売買」です。

「よし、この銘柄だ!」とか「ここが絶好の買い場である」と決め打ちすると、その方向に固執するしかなくなります。自分自身を“引くに引けない状態”に追い込み、柔軟性を失います。早めに気づく能力がありながら、「見通しと値動きがズレている」ことに気づきにくくなってしまうのです。



上の図は、うねり取りを構成する要素を、簡潔に示したものです。
赤の2つ、「分割売買」と「試し玉」が重要だというのが、私の意見です。
多くの人が最も力を入れる「読み」(予測)も、「ツナギ」「乗せ」といった、ちょっとカッコいいワザも重要度は低い、と考えているのです。

現在の株価水準を考える場合でも、将来の変動を予測する場合でも、判断や評価の基準はさまざまです。十人十色、百人百様……したがって、最後は「自分がどう思うか」を基準に、エイヤッと行動するしかないのが現実です。

その、自分自身の感覚というか感性を活用する、感じていることと実際のポジションを一致させるのが、“ついていく”姿勢、“柔軟性のある”態度です。

「上がる!」と確信するから買うのですが、一点狙いでバンッっと買うのではなく、まずは最小単位で買ってみた状態で、その後の値運びを受け止めます。そして、あらためて「よし、いけるな」と思ったらポジションを積み増していきます。

こうした分割売買を行うことで、攻めも撤退も自由自在、臨機応変に行動できる状況を維持するのが、うねり取りの大切な部分です。