ふだんの生活で起こる、不測の出来事について考えてみましょう。

「チカンに遭遇したら大きな声を出しましょう」
そうだね、そうすれば誰かが助けてくれるよね。
そう理解して納得し、「チカ~ン!」と声を出すことを想像したとしても、いったい何割の人が実行できるでしょうか。
多くの人が実行できないから、チカンが減らないのです。

オトナだって、駅の階段などで転ぶことがあります。
でも、転ぶなんて想像もしていないから、「恥ずかしい」という感覚が先行し、慌ててサッと起き上がって、なにごともなかったように歩き出そうとします。

本当は、周囲の人に迷惑をかけなかったか、自分が足にケガをしなかったか、カバンやポケットから何か落とさなかったか、といった大切な確認事項があると知っているのですが、それらのことを二の次にしてしまいます。

いざその場になって、事前に考えていた理想通りに行動するのは、とても困難なことなのです。

だから、トレードにおいては、

  • ガッツリと想像し、頭の中で何度もシミュレーションしておくこと
  • ひとりでリハーサルを繰り返すこと
  • なによりも、極めてシンプルな理屈、サッと行動に移せるカンタンな対応を用意しておくこと

が肝心です。

「確信あるエントリー」
言われて納得するかもしれませんが、わかっただけでは成立しません。
実際、実行する直前で止まってしまう行動パターンが多いのです。
「わかっていたんだよなぁ……」とか「やっておくべきだった」と後悔しても、すべては後の祭り。1秒前には戻れないのがトレードです。

判断、決断、行動、この3つがスムーズでなければいけません。

  • 判断……「買いだな」
  • 決断……「よし買おう!」
  • 行動……「買います」(サッと行動する)

「中源線建玉法」を例に、「判断、決断、行動」の流れを考えてみましょう。



まずは、陰陽(強弱)が変わるかどうか、つまり「転換するかどうか」を確認します。
転換したら、ポジションをドテンします。つまり、売り買いをひっくり返すのです。
もしポジションがゼロだった場合は、新規にエントリーします。

転換しなくても、3分割でポジションを増やしたり(増し玉)、減らしたり(手仕舞い)といったアクションがあります。
シンプルなルールがあるので、判断と決断が一体化しています。
その部分にストレスがないため、実行するのが容易なのです。

中源線は、うねり取りを実践するためのツールです。
でも、うねり取りには中源線が必須、ということではありません。

裁量のルールでも、ほかの判断基準でもいいのです。


ただ、絶対に欠かせないものがあります。

「判断、決断、行動」のスムーズな流れがあるかどうか、実際の場面でプラン通りに動くことができるかどうか、といった事柄です。

こういったプロの対応を、誰でもラクに実行できる、プロの行動スタイルをカンタンに体感できるので、私は中源線を強くオススメしているのです。

ポジションがあってもなくても、日々いろいろなニュースを聞いて考えます。
オトナゆえに、考えているうちに“考えすぎ”の状態になることも多いと思います。
情報は自然と集まり、頭の中で新しい情報を生むので、かなりの部分を切り捨てる、最初から見ない、といった堂々とした姿勢がないと、最もやっかいな「迷い」が生じます。

中源線は、その「迷い」を生まないための、完成された“行動指針”なのです。