私が利用価値について強く疑問を感じるものの代表は、日経平均株価です。
それなのに多くの人が注目するのですが、だからこそ私は、ことあるごとに、多くの個人投資家が日経平均に注目する姿勢への疑問を、理由とともに紹介しています。

林投資研究所のオリジナル図書『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』にも、そんな話を盛り込みました。
 

 


この本から、日経平均の利用に関して疑問を述べた部分を引用します。

●日経平均を見るな
投資関連の情報は、ひたすら日経平均を考察します。しかも、チャートのタテ方向のみ、日経平均の「水準」ばかりが論じられています。
さらには、絶対に結論が出ないにもかかわらず、「どうしたら先行きを当てられるか」という観点が満載……。
世界情勢が、日本のマーケットにも影響を与えるのは事実。でも、ひとつひとつを考えていたら、体がもちません。
それに、投資家の不安を“チクチクと突く”ようなメディアの姿勢に振り回されていたら、独立した状態で決断する“プレーヤー”としてバランスが悪いでしょう。
学校のテストで、英語と数学どちらも50点ならば「平均」も50点です。次のテストで英語が100点になった、しかし数学は0点だった。50点が100点に上がったのも事件ならば、50点が0点に落ちたのも事件ですが、「平均」は前回と同じ50点です。
「平均点は前回と同じ。特に変化なし」という結論を出せるでしょうか? 否! “個々の点数の変化”こそが問題なのです。
日経平均は東証プライム市場に上場する約1,850銘柄のうち、たった225銘柄を対象とした単なる平均です。
上昇する銘柄が多ければ日経平均も上昇するという理解は間違っていませんが、テストの平均点の例と同じく、個々の銘柄のさまざまな値動きが見えることはありません。
まずは、「日経平均を見る」という、メディアに刷り込まれた視点から脱却すべきです。
売買の対象とする個別銘柄の動きをストレートに観察し、最も大切な「自分自身の出処進退」を考える適正な姿勢に、自然と移行するでしょう。

(『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』のコラムより)

 

 


さて、相場の先行きについては誰だって不安……といっても、多くは“考えてもムダ”なことばかり。誰にも、明日の株価さえ見通せないのですから。

その一方で、実践家には確固たる“読み”があります。
そして、その“読み”をポジションに反映させるのがシゴトです。