林投資研究所が提唱するのは、「価格動向だけに目を向け、ポジション操作で“対応”する」という発想です。
ひとつのトレード思想であり、私たちは「相場技術論」と呼んでいます。
「相場技術論」を別の角度から説明すると、価格の変化を見る「テクニカル分析」と「トレード手法」の融合です。
対極にあるのは「ファンダメンタル分析」で、一般的な“投資関連情報”は、このファンダメンタルによって「うまく当てよう」という姿勢が非常に強いわけです。
その理由は2つあります。
ひとつは、情報としての見栄えです。
チャート分析を語っても、なんだか泥くさいだけで“価値がありそう”に見えず、“知的な分析”と感じさせません。だから、経済指標や要人の発言などを引き合いに出しながら、ファンダメンタル分析を“語る”のです。
ファンダメンタル分析がメインになる、もうひとつの理由は“引き”です。
“引き”とは、例えばドラマの終わりに驚くような新展開があって「来週どうなるの? 1週間待てないよ~」と思わせる工夫です。
株価動向とともに背景にある世界情勢、とりわけ戦争や政治の混乱などの“不安要因”に結びつけて解説すると、視聴者の「知りたい」という欲求を満たしつつ、「明日はどうなるだろう?」と考えさせる、つまり新たな欲求をつくり出します。
今週のイベントはこれとこれで「世界中が注目しています」とコメントすれば、イベント間際にどうなるか気になる、イベントの結果予想を知りたい、イベント後に価格動向などの解説があるからチェックしたい……と、「恐怖」を土台とした「興味」が膨らむのです。
そんな上手なマーケティングに、まんまと踊らされている投資家が多いのが実際です。
もちろん、ファンダメンタル分析をすべて否定することはできません。
ただ、多くの人がふだん無防備に受け取っている情報は、えてして「恐怖」と「混乱」を強めているだけ、という事実は理解しておくべきです。
トレード思想や手法にちがいはあっても、単なる「恐怖心」が良い結果を生むことはありません。とにもかくにも、“予想外”の動きには“対応”が求められます。
一般的な急落への対応を整理して、表にしてみましょう。
実に当たり前のことを並べただけですが、こうして具体的な行動を文字にしてみると、「急落したらどうしよう……」と恐怖心に支配された状態から抜け出すことができます。
恐怖心を支配しているのは「急落したら、(買っているポジションが)被害に遭う」という受け身の発想です。
しかし、表に示した“対応”は、オトナとしての自発的な行動なのです。
ちなみに、「何もしない」という選択肢も、れっきとした“対応”のひとつです。
「今のポジションで問題ない」と判断し、「何もしない」と決断するのです。
恐怖心を押さえ込んだまま「様子見だ……」とつぶやいても、何の効果もありません。
マーケットは常に“非情”なのです。