林投資研究所のオリジナル単行本、『相場技法抜粋』の一節を引用します。
市場における価格の波は、景気の波を先見するものである。
だから、少なくともわれわれのように売買で儲けようとする者にとって、景気の読みは関係ない。また、価格に影響を与えるさまざまな要因について影響の仕方を読み切ることなどできないから、価格の波そのものを直接的に考え、売買の技術で対応していくしかない。その具体的方法の第一歩が、分割売買なのである。
(『相場技法抜粋』抜粋12「分割売買は技法のはじまり」より)
デイトレーダーによる超短期の売買は、仕掛けも手仕舞いも極めて単発的になります。でも、ある程度の期間を見据える一般の投資家には、時間的な余裕があります。
だから、“一点狙い”をする必要などないのです。
「今がドン底だ!」
「この急騰で大天井だろう」
「いよいよ上がり出すゾ。いつ買うの? 今でしょ!」
いやぁ、こんな発想と思い切った行動が、トレードの醍醐味のように思われているのですが、ちょっと、映画やドラマの見すぎという感じです。
たしかに、パッと行動すべき状況だってあります。
でも、ほとんどの場合、少なくともポジションを増やしていく「仕掛け」に関しては、ズバッと行動しても、あまりいいことはありません。
チョロッと買う、「いいかもしれない」といってチョロッと買い増しする。
徐々に確信が強まったら、またチョロッと買う……事前に計画した株数をそろえるまで、あえて時間をかけるのです。
すると、素直で冷静な“対応”をする、理想のカタチに近づきます。
やみくもに手数(てかず)を増やすのではありません。
いつでも引けるようにしておく、「ヤバい」と感じたらサッと撤退できるように備えておくのです。
映画やドラマに毒された人は「みみっちい」と笑いますが、サイアクのことを考えつつも前に進むというのは、プレーヤーとして堂々たる態度ではありませんか。