例えば商品先物市場ならば、トレードの対象となるものは、実体経済の中で実需のある品物ばかり。だから、ファンダメンタル分析の有効性が高いと考えられます。

人気の要素が強い株式市場でも、例えば、成長性の高い企業の株価は長期的に伸びているとか、米国の政策によって成長分野に変化があり得るとか、そういった認識をもつのは当然です。

ファンダメンタル分析の基本は、“常に一定の基準で考える”ことでしょう。


ただ、どんなに素晴らしい分析をしても、「人気による株価の変動」という非常に不確実な要素は否定できません。


良い企業でも、株価が高値圏にあれば買うべきではありませんし、安値圏にいるなら「悪い状況が少しマシになった」だけで株価が大きく伸びるのです。

株価そのものを見る姿勢は、絶対に必要です。
その際、安易に「水準」を考えるのではなく、値動きの傾向、トレンドを考えることが大切です。

情報を集めて適切に評価するのは難しい、いや、その前に、情報を選別するのが難しいでしょう。いっそのこと、「材料やニュースなんて100%無視してしまえ!」という発想も成立するわけです。

テクニカル分析の三原則にもある「すべての材料・ニュースは価格に織り込まれている」という考え方では、ファンダメンタル分析を無視できます。

 

 

それをベースに、株価と自分の見通し(それに沿ったポジション)を冷静に比較し、シンプルに“次の一手”を決めようとする態度は、不要な混乱を生まない実用的な方法です。
取っつきにくいかもしれませんが、「相場技術論」と呼ぶトレード思想です。

林投資研究所が提唱している手法は、すべて「相場技術論」に基づいています。
うねり取りも、中源線建玉法も、相場技術論を土台とする手法です。


低位株投資の「FAI投資法」では、ファンダメンタル分析も行いますが、かなり限定的な見方をしていますし、価格の変動とポジション操作を中心に考えるので、やはり相場技術論に基づくものと説明しています。

まず、「手法」という発想を大切にしてください。


状況を見て「上か下か」と考えるだけでは、具体性がありません。
ファンダメンタル情報を捨て、刻一刻と変化していく株価、値動きへの対応を核とするのです。

断片的な予測法だけのものは、「手法」として成立しません。
基準の定まらない無責任なファンダメンタル情報、恥知らずな市況解説と同等です。

予測法に加えて、その予測法に沿ったポジション操作法、限られた資金を大切に扱いながらも効率を求めるための資金管理法が必要です。
これら3つの要素がバランスよくまとめられたものだけが、「手法」と呼べるのです。

手法として成立しているものならば、比較して優劣を語ることが極めて難しいでしょう。
トレードとは常に、“今までにない値動きパターン”に対してポジションを取る行為だからです。

でも、比較して「違い」を論じることはできます。
その違いをもとに、好き嫌いで手法を選ぶことができます。

比較するときの観点はさまざまです。
習得の難易度だったり、資料作成の作業量だったり……その観点を選ぶポイントも、やはり好き嫌いですから、自分なりに整理して考えるしかありません。

外部からの情報に頼ってきた場合、こんなことを考えるのは苦痛でしょうが、ぜひとも頭に汗をかいてみてください。