保合は売り」という考え方は、万人に共通の正解ではありませんが、プロならではの考え方によるものです。

相場師と呼ばれる人たちは昔から、株価変動を「トレンド」という観点で捉えています。

上げ相場と下げ相場、それぞれの特徴を考え、自らの立ち居振る舞い、プレーヤーとしてのあり方を素直に考えるのです。

その結果、たとえ安値圏であっても、動意が見られない横ばい、相場用語でいう保合(もちあい)では、上昇を期待して仕込むのではなく「むしろ売り建てが正解」と定義するのです。

株価が下落して、十分に安いと思える価格帯で横ばいをみせているのなら、「次に動くとすれば上方向しかない」というのが一般的な解釈です。

私も、その部分に違和感はありません。

でも、本当に「上がるはず」なら安値圏に放置されている状態を説明しにくい──こういう評価も成り立ちます。

少なくとも、「いい銘柄を見つけた。上がるだろう」という自分の予測を過大評価する傾向は否定できません。そんな“自分の都合”によって誤った行動を取りたくないというプロの“こだわり”を言葉にすると、「保合は売り」との指針になるのです。

【分析と評価】

  • 物理的な可能性として、動けば「上」だろう。
  • しかし、想定以上に長く持たされるかもしれない。
  • それならば、動意づいてから乗れば十分、時間もムダにしない。
  • 安値圏であっても、動かない銘柄を買ったら下落リスクを抱える。

【結論】

  • プレーヤーとして考えると、ポジションを取るならば「売り建て」だ。


決してひねくれているのではなく、自分をコントロールし、損益という結果をコントロールするための実践的な論理なのです。

私はよく「安く買って高く売る」はミスにつながる、という話をします。

上げ下げをトレンドとして捉え、自分の買い値や以前の安値など、単なる「過去」の出来事に縛られることなく、正しく「未来」を見据えれば、安く買うことにとらわれず、「上昇トレンドのときに買いポジションを持つ」という答えに至ります。

買うときの平均値は安いほうが有利ですが、時間を要するほど、結果として値幅を取るのが難しくなります。

安値保合で上手に仕込んでも、6カ月かかって50円幅の利益で終わるかもしれません。
動き始めてから乗るほうが、同じ50円幅をより短期間で取れますし、さらなる上昇を取る可能性も高くなります。

株は「安く買って高く売る」のではなく、「高く買って、さらに高値で売る」とイメージするのが、実践的には正解といえるのです。
人によっては、次のように言いきります。

「それでは生ぬるい。高く買って、さらに高値で買い乗せるんだ」

ドラマに登場するような“勝負師”よろしく無謀な行動を取るということではなく、サイアクの場合の撤退にも備えながら“効率”を求める計算づくの「戦略」なのです。